ひまわりの栞

勝利だギューちゃん

第1話

僕の家には、本がたくさんある。

漫画や小説やエッセイ、政治物、歴史物、雑学、童話など、

幅広く読んでいる。


正確な数はわからない。

僕は本を読むようになったのはきっかけがあった。


元々、本を読むのは嫌いだった。

読んでも途中で投げ出していた。

なので当時は、最後まで読破したことはなかった。


しかし、高校の時、国語の授業で宿題が出た。

「読書感想文を書け」

俺達は、小学生ではないと、みんなが反発した。


しかし、国語の担当教師が、「全員が、提出したら、焼き肉食べ放題だ」につられ、

やることになった。

但し、読む本は先生が決めるとのこと。


僕に出された課題は、滝沢馬琴の南総里見八犬伝。

「何冊あるんんだよ」


みんな、焼き肉はあきらめてくれ。

そう詫びた。


そんな時、クラスの女の子から、ある物をもらった。

「沢村くん、これ使って」

「これは?」

「栞、がんばってね」

その女の子は、渡部美奈という、大人しいけど優しい子だった。


栞を見ると、絵が描いてあった。

花の絵だが、花に詳しくない僕でも、ひまわりだとわかった。

どうやら、彼女の手作りらしい。


後で訊いたら、他のクラスメイトも、もらっていたようだ。

しかも、全員違っていった。


その時は、申し訳ない気持ちで、八犬伝を読み始めた。

しかし、すぐにはまってしまった。


南総里見発見伝は、江戸時代に書かれた長編小説。

僕は、滝沢馬琴について、調べてみた。


すると、晩年は盲目となり、代筆をしてもらい完結させてと知り、

作家のプロ意識を見た。


以来。僕は本の虫になった。

渡部さんからもらった、ひまわりの栞は今も使っている。


10数年後、電車の中で新しい本を読んでいたが、その栞を落してしまった。

するとある女性が拾ってくれた。


お礼を言おうとその人の顔を見て、驚いた。


「大事にしてくれていたんだね。ありがとう。沢村くん」



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ひまわりの栞 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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