「光の天使」地上編 プリンス・チャーミングとジュンス
来夢来人
第1話 「光の天使」地上編~プリンス・チャーミング序奏~クラブ・パラダイス~
<プロローグ>
その男の過去は
謎につつまれていた。
武器商人として
頭角を現した後、
アラブの王族とも親しくなり
その紹介で
欧米の上流社会と政界に
深いコネクションを持つようになった。
その謎の実業家は、
現在、ニューヨークを拠点に
事業展開をする
一大グループ企業の総裁にまでなっていた。
そして彼は、
世界を牛耳る権力者たちだけが
会員となれる
秘密のクラブ
「パラダイス」を
所有していた。
このクラブの売りは、
そのドール・コレクションであり、
ドール・オークションだった。
クラブ「パラダイス」では
“ドール”と呼ばれる
よりどりみどりの
美しい少年少女たちが
会員を待っていて、接待をする。
彼らは女優志望だったり、
歌手志望だったり、
ダンサー志望だったりするのだか、
成功への足がかりを求めて
このクラブのドールとなった
野心家が多かった。
会員は、好きな時に、好きな場所で
好きなドールを
愛でることができた。
今日は新加入の会員に
クラブ自慢のドールたちを
お披露目する、
大事な日だった。
そしてめったに姿を見ることができない、
レジェンド・ドール
「プリンス・チャーミング」も
オークションに出品されるということで、
世界中から会員が
集まっていた。
人気のドールとは
入会時を除いたら、
なかなか会うことができない。
とりわけ「プリンス・チャーミング」は
そうだった。
しかし今日は、
“クラブ自慢のドール”として
彼もオークションにかけられる。
一年に一度の特別な日なのだ。
彼をオークションで落とせなくても、
とりあえず会えて、
キスぐらいは許される。
オークションに参加するだけでも、
かなりの額の会費をとられるのだが、
オークションにかけられるドール以外であれば、
どのドールであろうと
アバンチュールは自由だったので、
ほとんどの会員が
このパーティーに参加していた。
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