教科書ジャック
@kiimann
プロローグ
キーンコーンカーンコーン
授業の終了を知らせるチャイムが鳴るとともに、暇な歴史の授業が終わり、クラス皆が立ち上がった。
そんなクラスの中の一員、河上遼晟は、歴史が苦手なお調子者の中学2年生。
「マジ歴史はダルすぎワロタなんだがw」
歴史の先生がまだ居るっていうのに、大声でそんなことを言える、ある意味凄い怖いもの知らずだ。
「みんな静かに。今からこの前の歴史の期末試験の結果を返すぞ~」
「ギクッゥ」
遼晟はその言葉を聞いた瞬間、腕を地面に着き、絶望に満ちた顔になった。無理も無い。遼晟は今までのテストでことごとく社会によって破滅に導かれていたのだから。前回も4教科返された時点で368点で、400点行ける!って思ってたのに、社会が30点で、ギリギリ行けなかった。ただ、今回は社会の対策をちゃんとしてきている。80点くらい取れる自信もある。
「はい、次は…河上~」
「うーい」
答案を貰った瞬間、点数のところを折って隠した。これは俺の、まあ決まりみたいなもので、ドキドキ感を最後まで残して楽しむものだ。
「えっ………?丸ばっかじゃん!」
俺は歓喜の頂上に居た。見た感じ90点は取れてそうだ。そして運命の点数の御開帳だ。周りの席のみんなが見守る中、一気に折ったところを開いた。
「うぉ! …ん!?」
クラスが暗黙に包まれた。今、遼晟に起きていることが全く分かんなかったのだ。もう一度確認してみても、点数は変わっていない。そう、点数を記入する欄にも、「丸」が書かれていたのだ。
異変にきずいた先生が、こっちに向かってくる。
「あー、残念だったね遼晟くん。ここを見てみ?」
そう言って先生が指差したのは名前の欄だった。芸術と言って良いまでのキレイな空白じゃないか…って、ん!?
「本当は92点だったのにね~ざぁんねぇん!」
この瞬間、遼晟は社会という教科をこの世から消したいとまで思った。
「社会!てめえー!!!!消えろ!」
この物語はこの一人の少年が全ての歴史を変えて行く物語である。
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