山小屋を買ったら異世界に繋がりました
色葉せす
■プロローグ
「いらっしゃいませ!あ、こんにちはー。今日は皆さんで来てくださったんですね。ありがとうございます」
ニコニコと営業スマイルを振りまきながら、私はお客様を空いてる席へ案内する。
王都中心部にある大きめのレストラン「ベルベス亭」
王国騎士団御用達の為、騎士団員目当てに若い娘さんも多く、とても賑わっている。
そこが私の働いているお店。
「本日のお勧めは、草原ギーウのシチューとパンのセットです」
目の前の見目麗しいお客様方に本日のお勧め料理を紹介する。
周りを見渡せば金髪や茶髪のみならず赤髪、紫髪、緑の髪など色彩豊かな髪色をしているが、皆地毛だ。
その中で、日本人独特の真っ黒い髪色をしている私は珍しい。
黒に近い茶髪の人もいるが、私ほど黒くはない。
現在も戸籍は東京にある。最近引越しをしたので、現住所は東京ではないが、自宅だってぎりぎり関東圏内。
年齢は26歳。身長は155センチと、日本では高くもなく低くも無いが、この街にいると皆さんとても背が高いので子どもに戻った気分になってしまう時がある。
ここはアルベスク王国。
東京ではなく、日本でもなく、地球ですらない。
私はこのお店に、地球の、日本の、関東圏にある現在自宅として使っている山小屋から通っている。
そう、つまり私は「異世界」に「日本」から通っている。
異世界と日本を自由に行き来し、言葉の壁も無く、少し…どころかかなり早めの第二の人生を謳歌し始めたところ。
以前の私は、都内に一人暮らしをし、某大手会社に就職、先輩や上司にもある程度恵まれ、毎日をそれなりに楽しく過ごしていた、ごく普通のOLだった。
ある程度仕事も任されるようになり、仕事にやりがいも感じていた。
後輩育成にも励んでいたつもりだった。
彼氏もいたし、所謂「リア充」な生活を送っていた。
その私が、何故「異世界」に自由に行き来できるようになったのか。
最初のきっかけは彼氏と別れたところからだったのかもしれない。
去年のクリスマス前。
真冬の寒い日の出来事から。
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