第160話【Break time】
宿屋の温泉に入って疲れを癒すハック。
「ふぅー・・・」
「にょー♪」
ニョッキがぷかぷか浮かんで嬉しそうな声をあげる。
ハックはニョッキの頭の上にタオルを乗せる。
「今回の依頼も中々にハードにょー、大丈夫?」
「戦闘よりは良いだろう・・・しかし今回は妙な事になっているな」
「本当にねー」
「「「にょにょにょーにょにょにょー」」」
「ん?」
野良でぶ妖精達も温泉に入ってのんびりしている様だ。
集って集団でぷかぷかしている様は見ていて楽しい。
「にょーにょーにょー」
「にょにょにょ」
「にょにょにょーにょー」
鼻歌の様な変な合唱が温泉を満たす。
暫く聞き入った。
「そろそろ上がるか・・・」
「にょー」
温泉から上がるハックとニョッキ、後を付いて来るでぶ妖精達。
「・・・何で後を付いて来るんだ?」
「宿の人と約束をしてるにょ」
「約束?」
「御飯と入浴の代わりにお布団をやるにょ」
「???」
ハックは首を傾げたが寝る時になって理解した。
でぶ妖精が布団や枕カバーの中に入って綿の代わりを務めているのだ。
「あー、これは柔らかくていいわー」
「( ˘ω˘)スヤァ」
ニョッキも早くも眠る、ハックもでぶ妖精達の柔らかさを堪能してゆっくりと床に就いた。
翌朝、目が覚めたハックは朝食を取った。
朝食は有頂天鶏のスクランブルエッグと白米。
シンプルながらも良い味が出ていた。
「美味しいにょー」
「そうだね、今日は山の下のパティシエの所に行って
このケーキの材料を渡せば良いんだったか」
「異世界から召喚するんだから魔法の触媒の方が通りが良い様な気がするにょ・・・」
「まぁそれも分かるが・・・流石にここまで来てまたお使いを頼まれるって事は無いよな?」
「それは流石に無いと思うにょ、もし有るなら昨日の時点で頼まれると思うにょ」
「それもそうか・・・」
食事を済ませたハックはまだ朝が早かったので
布団に入っていたでぶ妖精とニョッキをむにむにして時間を潰し
暫くしてから宿を出発して山の麓の村まで向かった。
「まだ朝方だにょー」
「山を下りるまでには時間も過ぎるだろう」
「それもそうなにょ」
ハックとニョッキは麓の村まで降りてパティシエのお菓子屋に向かったのだった。
するとそこには・・・
「ぬわぁあああああああああああ!!」
床に大の字になって横になっているパティシエの姿が有った。
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