第154話【何かになりたい】

「・・・・・・・」


へリングは楽屋でメイクをされながら新聞を見る。

新聞にはリーシャのインタビュー記事が載っていた。


”私は”何か”になりたいんです、ただの普通の人で終わりたくないんです”


リーシャのコメントを見るへリング。

自分がこのミスコンを夫に強請って始めたのもそんな切欠だった。

自分も何者かになりたくてこのミスコンを開いた。

結果として自分は王座を二十年守り抜いた他に類を見ない存在になった。

だが死を賭して戦うハングリー精神を持った

嘗ての自分の様な相手に勝てるのだろうか?


「・・・・・ふん、何を今更」


既にやる事は全てやった、負けるにしても勝つにしても行くべき場所に向かわねばならない。

へリングは舞台へ向かった、リーシャへの超歓声が巻き起こっている。

それがまるで壁の様にへリングを食い止める。


「・・・・・舐めるんじゃない」


へリングは舞台へと歩を進めた。


「ディフェンシング・チャンピオン・レッド・へリングー!!」


アナウンサーのコールにまたしても会場の熱気が上がった。


「貴女がリーシャね」

「・・・はい!!貴女から王座を奪いに来ました!!」


自信を持って真っ直ぐ見返すリーシャ。

リーシャの発言に会場もヒートアップする!!


「良い眼ね・・・自信に満ちている眼だ・・・」


自分もこんな眼が出来ているのだろうか。


「リーシャちゃん、心おきなく戦おう、そしてぶっ潰してやる!!」


へリングの返しに会場のボルテージも更に高まる!!


「さぁ両者並び立ちました!!それでは判定をお願いします!!」


審査員達の判定が今下される・・・








一方その頃、裏路地で戦うメアリーと・・・


「中々やる、流石はテロリストの幹部と言った所か」

「アンタ・・・何者!?」

「私は蝶々」

「何!?」

「ウチの副ギルドマスターだ、強いだろう?」


ギルドマスターがヘラヘラとしながら笑って来た。


「はぁ・・・はぁ・・・」


メアリーは既にボロボロである

体中に傷がつけられ何時倒れても可笑しくない状況である。


「粘るな・・・」

「ギルドマスター、トドメは?」

「刺さなくて良い、警邏に引き渡すから」

「舐めるな・・・こんな所で・・・まだ何も出来ていないのに・・・」


悔し涙を浮かべながらメアリーが魔法を唱え始める。

副ギルドマスターは持っていた剣の柄を思い切り額に当ててメアリーを気絶させたのだった。

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