第130話【アキラの策】

「では他に質問が無ければこのまま二次試験を開始します」

「入る前に聞いておきたい」


アキラが挙手した。


「どうぞ」

「入って5分後に次の人が入ると言ったが

入らなかった場合は如何なる?」

「どういう事ですか?」

「つまりだ、Aが入って5分後にBが入る、という説明だったが

もしもBが入らなかった場合は如何なる?」


奇妙な質問だ、試験を受ける為には試験会場に入らなければならない。

にも拘わらずに試験会場に入らなかった場合を問う。

無論、試験官の答えはこうなる。


「その場合は失格となります」

「分かった、では中に入ろう」


アキラはドアを開けて部屋の中に入った。


「次は私か」


セレスタは銀の装飾品を準備し始めた。


セレスタの策はこうだ、まず試験会場の屋内ダンジョンに入ったら

銀の装飾品を用いた魔術でダンジョン内の地図を作製。

その地図から何処に宝玉が有るのかを推理して探索。

銀を用いた魔術的罠を作れれば万全。

一番最初では無いのがネックだが、それでも序盤に入れるのだから

罠等を仕掛ければ・・・


「セレスタさん、入って下さい」

「おっと考えている間に順番か、では行こうか」


ドアを開けて中に入るセレスタ。


「さてそれでは探知を始め・・・!?」


銀を操って盾を作り咄嗟にガードするセレスタ!!

ガギン!!と剣が激突する。


「ぐはっ!!」


セレスタは地面にめり込む、それ位強力な一撃だった。


「アキラ・・・待ち伏せていたのか・・・」

「あぁ・・・」


アキラは5分間ずっと開始地点のドアの裏で待っていたのだ。

そしてやって来たセレスタを不意打ちで倒そうと襲い掛かったのだ。


「くっ・・・」


ガードはしたが腕の骨が折れている事を察するセレスタ。


「・・・ギブアップとかはアリかな?」

「・・・・・試験官に聞いて見ろ」


ドアを開けるアキラ。

倒れながら外の試験官に尋ねるセレスタ。


「すみません、ここでリタイアしても大丈夫ですか・・・?」

「・・・大丈夫です」


セレスタ、脱落。


「馬鹿な、あのセレスタがここで脱落だと・・・」

「無理もねぇ不意を打たれたんだ・・・」

「だがアキラが待ち伏せているとなると・・・ヤバく無いか?」

「勿論この待ち伏せも試験の想定の範疇です、どうぞこの難関を突破して下さい」


試験官の残酷な一言で認識を新たにする8人。

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