第126話【ルーキー達の策略】

ルーキーの一人、純銀のセレスタは銀の断片を付けた糸を垂らしていた。


「おい、何をしている」


試験官が当然聞きに入る。


「カンニングか?」

「いえ、カンニングではありません、これは直観力を上げる魔法です」

「直観力を上げる魔法?」

「えぇ、答えが分からないので直観力を上げて勘で当てようかと・・・

まさか魔法使いの試験で魔法を使うなとは言いませんよね?」

「ふむ・・・良いだろう、認めよう」


魔法は有っているが直観力云々は嘘である。

この魔法は相手の精神にアクセスする魔法で

この魔法を使って試験官の精神から答えを探るつもりなのである。

カリカリカリと答えを素早く書き込むセレスタ。


「・・・・・すいません、ちょっとトイレ」


セレスタの動向を見るとパンプロ・ブラザーズの弟が席を立つ。


「分かった、トイレに案内しよう」

「すみません・・・」


トイレに出るまでの間にセレスタの答案を素早くチラ見カンニングで見る。

そしてトイレから出て戻る時にもカンニングして答えを見る。


「さて・・・」


カンカン、とリズム良くペンを叩く。

これはパンプロ・ブラザーズの暗号符丁である。

ペンを叩く音で兄に答えを送っているのだ。

これで一定の点数は取れる。


ルーキー達はそれぞれの対処法で文字通りテストを処理していく。


そして魔騎士アキラの対処法は・・・


カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ

カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ

カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ

カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ

カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ

カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ


「・・・?」


魔騎士アキラを横目で見ていたバーベナムは驚愕した。


(こいつ・・・諦めたとかそういう感じじゃねぇ・・・間違く無く確信をもって書いている!!)


様々な出題範囲の問題をスラスラと難無く解く魔騎士アキラ。


(何者だ・・・?)


ヴェンデスも警戒を露わにする。

そんなこんなでテストの終了の合図が鳴ったのだった。

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