第104話【思い出話②】

「私は勉強をして良い大学に入ってそこでトライデントラインに入社したんです」

「トライデントラインって最大手の新聞会社じゃねぇか!!」


驚愕するダラン。


「えぇ、当時の私は敏腕記者として様々なニュースを手掛けていました

主に社会問題を取り上げて色々やっていたんですよ」

「今はどんなニュースを書いているんだ?」

「・・・手あたり次第ですかね」

「如何言う心境の変化だ?」

「当時は大手の新聞会社に勤めていて給料が出ていましたが

今じゃあネタを書いて新聞社に買い取って貰う形式になったので

書くネタは選べないんですよ」

「ふぅん・・・」

「話を戻して当時の私はとある大企業の深刻な倫理違反を追っていたんです

あと一歩で証拠を掴める、と言う所で上から調査を打ち切る様に言われました」

「・・・圧力って奴か?」

「えぇ・・・その大企業って言うのは新聞社のスポンサーでした

私はそのネタを他の新聞社に流してトライデントラインを辞めました」

「おいおい・・・良いのか?」

「良いんですよ、金よりも自分の信念の方が大事だ

あの時、私が憧れた乱暴者を言葉で制した中年紳士の様な

言葉で世の中を正したいと言う気持ちに偽りは無いんです」

「・・・・・」


トーホクはコップに酒を注ぎ飲み干した。


「青臭いでしょうか?」

「良いんじゃねぇのか?」


ドンも酒をコップに注いで飲んだ。


「トーホクが話したんならば俺の昔話も話そうか・・・

ミンからも話は聞いたんだろ?」

「えぇ、大体は」

「俺はぜぇんぜん聞いてないけど?」


ダランが茶々を入れる。


「じゃあ家から出て行った後から話そうか・・・

俺は家から出て行った後に考えた訳だ

ミンは俺の愛が重いと言った、確かに俺は今まで鍛冶一筋で

他の事、友達と遊んだり?とかそういう事をして来なかった

人間関係とかの構築をして来なかった訳だな

特に弟との関係は寧ろ悪い感じだった」

「ふむ、それで?」

「それで俺は友達を作る事にした訳だ

なるべき仕事よりもプライベートな時間を作れる所を探して

行き当たったのがこの神州進撃会だったと言う訳だ」

「確かにこのギルドは結構ゆるいからな」

「そうだな

そのゆるいギルドだからお前達みたいな飲み仲間と出会える事が出来たんだ」

「な、何だか照れ臭いなぁ・・・」

「もう一個聞いて良いかな?」


照れるダランを後目にトーホクが問いを投げる。


「何だ?」

「『何を言いたいかは大体見当が着いている』

ってミンさんに言ってたけど何の事だい?」

「・・・」

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