第93話【破魔の刃】

”「お前が噂に高いマッフィン・トップか・・・ならば話が通じるかもしれない」


構える私を魔術師は静止した。


「待て!!まずは話を聞け」

「話だと?」

「あぁ、私は破魔の刃の魔術師ボールドヒン!!」”


「破魔の刃だと!?」


ヴェンデスが叫ぶ。


「知っているのですかヴェンデスさん」

「あぁ、魔王と呼ばれる居るか居ないんだが分からない存在の為に

一般人を巻き添えに殺しても何とも思わないマジのテロリストだ」

「えぇ!?」

「こんな事、嘘で書いて良い事じゃない・・・!?」


視界の端に移った今朝の新聞を見るヴェンデス。


「お、おいこれって・・・」


【お手柄!!冒険者マッフィン・トップ破魔の刃のメンバーを捕獲する!!】

新聞の見出しにはそう書かれていた。


「・・・実態は間抜けだったけど破魔の刃のメンバーだったって事ですか?」

「間抜けだったのか?」

「自分で呼んだドラゴンゾンビに踏まれて死にかけてました」

「間抜けだな・・・」


”破魔の刃の名を聞いて不快感が沸き立つ


「破魔の刃、か・・・噂に聞いたが民衆を虐殺して回る連中だったか?」

「それは誤解だ、我々の戦いの結果、民衆に些細な犠牲が出ているのだ」

「犠牲、か、居るかどうかも分からない魔王とやらの為に、か?」

「魔王は実在する、現にフォロヴォアックは無くなったでは無いか」


フォロヴォアックと言うのは火山活動の影響で滅んだ街の事であるが

彼等破魔の刃の中では魔王が街を滅ぼした、と言う事になっているらしい。


「一体何のために村を襲っているんだ?」

「私は魔王を探す為の策を考えたのだ」

「策だと?」

「魔王が何処に居るか分からないのならば民衆毎皆殺しにすれば良い」”


「実際に破魔の刃はこういう事を考えている連中だ」

「頭が可笑しいですね」

「だな・・・」

「でも納得しましたよ」

「?」

「だってこんな馬鹿みたいな考えの組織

この間の馬鹿な奴しか入りませんよ」

「だな・・・」


”「その為にまず麓の村の連中を皆殺しにしようと思った訳だ」

「なるほど、お前は頭が可笑しいのだな」

「マッフィン・トップよ、如何だろうか?我々に協力してくれないだろうか?」

「する訳が無いだろうがお前は頭が可笑しいのか?」

「そうか、残念だ」


ボールドヒンは杖を構えて魔法の詠唱に入った。

だがそうさせる私では無い、魔法を唱える前に素早く私は懐に入り攻撃を加えた。


「ぐわ!!」


ボールドヒンが怯む、続く追撃を叩き込もうと近付いた、その時!!”

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る