第89話【Result&Book】

「ぐ・・・ぐぐ・・・まだだ!!ドラゴンゾンビを足を退かせ!!」


言われた通りドラゴンゾンビは足を動かした。

そして魔法使いは足に吹き飛ばされ洞窟の岸壁に叩きつけられた。


「ぐはぁ!!」

「・・・何がしたいんだ?」

「・・・流石にドラゴンの攻撃二回に耐えられまい・・・」

「装甲を忘れたか!?・・・はぁ・・・はぁ・・・」

「・・・・・」


つかつかと魔法使いの元に歩くトップ

鞄からロープを取り出して魔法使いを縛り上げ始めた。

そして口には猿轡を噛ませて言葉を発せなくした。


「さてと・・・燃やすか」

「え?」


トップはドラゴンゾンビに油をかけて火を放った。

魔法使いはじたばたしてそれを止めようとするが

悲しい事に彼には何もする事が出来なかった。

燃え始めるドラゴンゾンビ

悲しいかなゾンビ故に命令無しでは何も出来ないのだ。


「・・・・・!!・・・・・!!」

「一応だがドラゴン退治か・・・今までに成した事が無い偉業だが

本に如何書こう・・・」

「普通にドラゴンを退治したでは駄目なんですか?」

「流石にそんな大口は叩けない・・・何とかして話を盛り上げないといけないが

盛り上がり過ぎるのも問題が有るんだよ」

「そんなもんですかねぇ・・・」

「まぁゾンビとは言えドラゴンと戦わなくてほっとしたよ」

「そうですねぇ・・・」


冒険を求めていたとはいえハックも自分の領分は弁えている。

ドラゴンと何か戦っていられない。


「とりあえずドラゴンゾンビを燃やし尽くした後にコイツを詰め所に連れてってみようと思う

君はもう帰って良いよ」

「・・・良いんですか?」

「流石に警邏は抱き込めないからねぇ・・・」

「はぁ・・・報酬は」

「ちゃんと振り込んでおくよ、新刊はまだ先になると思うけど」

「はぁ・・・新刊ですか」

「特別にサインも付けとく、プレミアが付くよ」

「プレミアですか・・・」


この時のハックは後にその本が自分の冒険者人生で

金額だけならば最高額の報酬に化ける事になるとは想像もしなかったのであった。


今回のリザルト

30G




それから一ヶ月後、ハックが住んでいる寮に荷物が届いた。


「おーいハック、何か荷物が届いているぞ」

「荷物?・・・この間の幽霊同行者の時の依頼人からか・・・言っていた新刊かな?」


ハックは荷物の封を開けて中の本を取り出した。

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