第41話【悪人が居ない街】

色々と街を回ったハックだったが結局ヌベアを何処で売るか迷い

寮へと戻ったのだった


「ただいま戻りましたー」

「おかえりにょー、おみやげー」

「さっき食べたパフェの苺をあげよう」

「あまーい」


でぶ妖精に苺をあげてベットに横になる


「その様子じゃ売れなかった様だな?」


ヴェンデスがヘラヘラとからかう


「うーん大っぴらに言うと悪人が奪いに来そうだから

大っぴらに売れないのがネックですね」

「まぁそうなるわな、悪人が居ない所で売るって言う手も有るぞ?」

「そんな所何処に有るんですか?」

「あるにはあるぞ?貝の街って言うんだが

あ、でも結構遠いからな何かのついでじゃないと行けないか」

「仕事で都合良く、その街に行けるとは思えないですし・・・

そもそも悪人が居ない街って信じられないですよ」

「前に一度行ったよ、二度と行かないけど」

「嫌な街だったんですか?」

「気持ち悪いんだよ、何がとは言わないが」

「はぁ・・・」


要領を得ないヴェンデスの言葉に戸惑いながら

でぶ妖精をむにむにしつつハックは眠りについた


翌日、ギルドの依頼を見に行くハック


”学者スルメの貝の街にて調査に同行して荷物持ち 報酬:日給1G50F”


「都合の良い仕事だなぁ!!」

「如何したのかのぉハック坊」


クハルが声を挙げるハックを怪訝そうな眼で見る


「いや貝の街って言う街は悪人が居ないから

ヌベアを大っぴらに売りに出せるって聞いたんですが・・・

都合良く仕事が来るなんて思いもしなかったですよ」

「・・・まぁ好き好んでいく街でも無いからの」

「ヴェンデスさんも二度と行かないとか言ってましたけど

そんなに酷い街なんですか?」

「酷くは無い、酷くは無いんじゃが・・・薄気味が悪い」

「???」

「真水じゃ魚は生きられぬ、と言う事じゃよ、じゃあの」


クハルは手を振りながら仕事へ向かった


「・・・とりあえずこの仕事受けるか」

「え、その依頼受けるの?マジで?」


キューが若干困惑している


「そんなに酷い街なの貝の街って?」

「そんな事は無い、街の人達は良い人ばっかりよ吐き気がする位」

「???でもそういう街なら悪人も居るんじゃないか?

良い人を騙そうとする奴も居るだろうし」

「それは無理だよ」

「無理?」

「この貝の街については

学者先生のスルメさんに直接聞くと良いよ」

「何だか納得行かないが分かった」

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