第33話【諦めない】

「これで残りは足甲だけか・・・」

「その買い手なら来そうですよ」

「本当か?」

「はい」

「・・・・・」


店の戸が開いて外からポンポムが入って来た


「あ、ポンポムさん」

「やぁ」

「・・・・・」


声を掛けられて俯くコモンズ


「コモンズ、装備の説明はお前に任せた」

「え、て、店長!?」

「良いから」


コモンズとポンポムを店の奥に押し込むカトラリー


「・・・コモンズさんの様子が変でしたけど何なんですか」

「あぁ、あのオーバーオール娘はコモンズに惚れていてな

ウチの看板娘と恋のライバル関係だったんだよ、だがコモンズに振られてな」

「・・・気まずいなんてレベルじゃねーっすよ、それ」

「何でそんな二人を一緒に?」


ドン引くハックに当然の疑問を口にするキョク

それに対してカトラリーは


「だって面白そうだろ?」

「えぇ・・・」

「一歩間違えば家庭崩壊有るぞ・・・」

「砕ければそれまでだと言わざるを得ない」

「いやでも奥さんが妊娠してるならば・・・」

「男は狼なのよぉ!!」

「アンタ婿に何言ってんだ!!」


ツカツカと足甲を抱えたポンポムが三人の前を通り過ぎる


「・・・・・特に問題無く商取引は済んだようですね」

「チッ、ツマンネ」

「おいおい・・・」

「あ、ども、皆さん」


奥からコモンズがやって来る、やや憔悴している


「コモンズ、何て言われた?」

「『結婚しても諦めないから』と言われました・・・」

「「怖っ・・・」」


シンクロするハックとキョク


「まぁ・・・アレだ、薬物中毒患者が

薬物を辞めて薬物との誘惑に生涯終わりなき戦いを挑んで

勝利し続ける人も居るんだし問題無いだろう」

「一生涯ポンポムと接しなくちゃいけないんすか?」

「まぁ良いじゃないか、お前は嫁一筋なんだから」

「それは・・・そうですが・・・」


可笑しな空気になったがこれで装備は一式売り払う事には成功した

足甲は10Gで売れたので神州進撃会には2G入り

合計すると26Gが神州進撃会の取り分となった


それから暫くしてポート、トーホク、カホルが帰って来た


「全部売れたのか!!」

「ほっ、ブッキングしなくて良かったな」

「そうねぇ~」

「君達のお陰で邪魔な荷物が片付いた、礼を言うぞ」

「いえいえ、こちらこそ有難うございます」

「ははは、あ、そうだ君達夕飯食べてくか?」

「良いんですか?」

「邪魔な荷物も片付いたし明日から営業再開としよう

手慣らし代わりに食べて行ってくれ」

「有難うございます!!」

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