第41話 野営訓練二回目

 野営準備は順調に進み野営訓練の日になった。


「現地に着いたら、半日魔獣の狩りをして野営の準備をしよう」

「今回は何か試す事とかあります?」

「そうだな、狩りに関してはレーザーサイトがどれだけ使えるか調べたい。それと、今回野営の見張り用魔道具も持って来たから試してみる」


「レーザーサイトってなんです?」

「ローレッタは見るの初めてだったか。弾が飛んでいく位置に光が当るんだ。遠目スキルの代わりかな」

「へぇ便利んだの」

「でも素早く動く目標には意味が無いんだ」

「んだね遠目スキルもそった感じだ」


「じゃあ出発しよう」

「「はい」」




 オークの領域で獲物を探す。

 最初の魔獣はオークだ。

 オークは木に生った果実を美味そうに食っている。

 どうやらこちらに気づいてないみたいだ。

 こっそり後ろから近づき後頭部にレーザーの光を当てる。

 そして銃弾を打ち込む。

 オークは短いうめき声を上げ倒れこんだ。

 一発で仕留めたぞ。

 幸先が良い。

 魔石を取って次に向かう。




 今度は群れだ。

 ウインドウルフかな。

 猿の魔獣のフレイムモンキーが木々を伝い躍り出てきた。

 この猿の魔獣は火魔術を使う。

 ウインドウルフみたいに包囲せず、地面に降りると群れで一団になって駆けてくる。

 まずは一発ぶちかます。

 先頭のフレイムモンキーに狙いをつけて撃つ。

 銃声と共に崩れ落ちる。

 中央にいたボス猿が一声上げると群れはばらけジグザグに進んできた。


「フィオレラ、薄いトーチカと鉄条網だ。ローレッタ手当たりしだい撃て」


 フィオレラの土魔法でトーチカと鉄条網ができあがった。

 トーチカの窓から射撃する。

 外した。


 続けて三発撃つがどれも外れる。


「火魔術を使われたら、厄介だ。目を瞑れフラッシュバンを撃つ」


 銃を足元に置き背中から杖ゴーレムを抜いてフラッシュバンを撃つ。

 目を開けるように指示した。

 そして、状況を見る。

 フラッシュバンを見た何匹かの足が止まっていた。

 足を止めた個体を拾った銃で打ち抜いていく。

 そろそろ火魔術を撃ってきそうだ。


 しょうがない。

 爆発の魔弾をボス猿の足元に撃つ。

 赤い軌跡が地面に吸い込まれ爆発を撒き散らす。

 ボス猿は悲鳴を上げる。

 足に傷を負ったようだ。


「今だ。ローレッタ、ボス猿に集中攻撃しろ」


 ローレッタが連続して矢を射る。

 矢は胴体の至る所に当たった。

 最後の一発はアビリティの貫通を使って攻撃したようだ。

 矢はふかぶかと胸に突き刺さる。

 ボス猿が絶叫を上げた。


 レーザーサイトの赤い光がボス猿の額にともる。

 今だ。

 やった当った。

 ボス猿を討ち取ると残りは一目散に逃げて行く。


「生きているのも居るかもしれないから止めを刺そう」


 ローレッタと二人で止めを刺して魔石を回収する。




 次の魔獣はまたもやオークだった。

 今度は俺達に気づいている。

 ドスドスと足音を立てながら寄ってきた。


「ローレッタ、俺にやらせてくれ」

「はい、譲る」


 まずは足だ。

 オークの膝の辺りに狙いを付け撃つ。

 膝より上に当った。

 オークは叫び声を上げながらびっこを引き引き歩いてくる。


 オークはタフだ。

 しかし、この速度なら問題なく頭を狙える。

 ゆっくり狙いを付け弾を発射した。

 見事頭蓋を打ち抜く。


「今日はこれで野営しよう」




 適当な場所を探し馬ゴーレムから荷物を降ろし野営の準備をする。

 今日の夕飯はオーク肉のスープだ。

 携帯食が美味くなってる果汁の汁でも混ぜてるのか少し甘い。


「今日はどうだった」

「銃ゴーレム強いですね」


 フィオレラが感想を言う。


「アビリティ使えば弓もなかなかいける」

「遅い魔獣は良いんだよ。素早いのは駄目だな」


 どうした物か範囲攻撃が欲しい。

 杖ゴーレムで強力な魔術を放つのは魔力がたりないな。

 魔道具でも良いのだが範囲攻撃ができる距離まで近づけさせると危険が増す。

 前衛が居れば変わってくるのだろうか。

 マシンガンが欲しい。

 野営から帰ったら作るか。




 雑談を散々して見張りの時間になった。

 今日は襲撃が無いよう祈る。

 しかし、見張りの最中に警報が鳴ってしまった。

 魔道具は正常に働いているようだ。


「起きろ魔獣だ」


 テントに向かって怒鳴る。


「警報のあった方向はあっちだ」

「足音聞こえんね」

「トーチカ出します?」


 ピーピー警報が鳴る。


「また鳴ったぞ。念の為トーチカを出してくれ」


 しばらく待つが魔獣は来ない。


「あれ来ない。魔道具の誤作動かゆっくり警報の方に行こう」


 警報のあったと思われる所に行くと暗闇に赤い目が浮かび上がる。


「なんだ普通だ兎だば」

「兎を追い払ってくれ。魔道具は改良が必要だな」


 そんなトラブルもあったが一日目の夜は問題なく過ぎた。




 二日目の狩りは問題なく行えた。

 ただ素早い魔獣には歯が立たない。

 やはりマシンガンは必要だ。


 二日目の夜ローレッタの見張りの時に魔獣が来た。




「起きで魔獣だ」


 起こされてから数秒後に警報が鳴る。


「フィオレラ、トーチカを出してくれ。ローレッタ、どの方向か分かるか?」

「あっちの方向だ」


 灯りの魔道具に魔獣が照らされる。


 魔獣はシャドウサラマンダーで巨大なサンショウウオの魔獣だ。

 夜行性で黒い身体は暗闇では見えない。


「ブレスを吐かれると面倒だ。速攻で片付けるぞ」


 皮膚の表面は濡れている感じだ。

 もしかして雷の魔弾が有効か。

 ローレッタの矢は表皮で弾かれる。

 かなり物理攻撃に耐えそうだ。


 雷の魔弾を撃つ。

 青白い光線が突き刺さるとシャドウサラマンダーは感電してピクピクした。

 杖ゴーレムで最大魔力の炎の槍を放つ。

 轟音と共にシャドウサラマンダーは動かなくなった。


 魔石を抜いて穴を泥ゴーレムで掘り魔獣を埋める。

 もう今日は魔獣は来ないで欲しいと思いながら眠りにつく。




 朝日がテントの隙間から顔に当たり目を覚ます。

 なんだかんだいっても無事な朝はホットする。

 さあ後は帰るだけだ。

 家への帰り感想を聞く。


「今回の訓練どうだった」

「見張りの魔道具はなかなか良いと思います。もう野営の訓練は必要ないかと」

「魔弾は凄いだの。弓どは攻撃力がつがる」

「魔弾は高いから頻繁に使えない。今回はぎりぎり黒字の有様だなんとかしないと」


 改善点は見つかったから明日から試行錯誤して次はいよいよワイバーンの領域だ。

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