第40話 魔弾
フィオレラから相談を受けた。
吸光のスキルがアビリティに比べて効率がかなり良いから心配になったと。
スキルは効率が良くなる物だから心配するなと答えた。
ちょっと気になったが、気にしない事にする。
納得した様子だったので魔石の精錬を頼む。
ふと思う魔石の精錬は簡単だよな。
魔力はそれなりに食うけど、何故しないんだ。
小さい方が良いと思うんだが。
フィオレラにさっそく聞いてみた。
さも当然という態度で小さくなると価値が下がった気になると言われた。
重さで買取額が決まるからそう思うのか分からん。
見張り用魔道具を作るとするか。
何度かやり直し踏むと警報を発する魔道具ができた。
素足で魔道具に乗りテストしてみる。
上手くいった。
しかし、薄い魔道具は今にも割れそうだ。
どうしようかな。
ジャンプしたら、破片が足に刺さりそう。
ゴーレムに踏ませれば問題ない。
馬ゴーレムなら重くてちょうど良いだろう。
フィオレラに馬ゴーレムに踏ませるように頼む。
軽やかに魔道具を持って出て行った。
俺は割れたら、どうするか考える。
要は硬くすれば良いんだ。
金属を使おう。
その為には強引に混ぜる必要がある。
スキルを調べてみよう。
ハンターギルドの資料室は今日も人が少ない。
静寂の中『スキル大全』をめくる。
結合、混成、配合、合体、無い。
あった混合だ。
本来は合金を作ったり薬を作ったりするスキルらしい。
スキルを教わるいつもの工房に行く。
何度も面倒な事を頼んでいるのに見習いの少年は愛想よく迎えてくれた。
スキルを持っている人に見せてもらう。
魔力を使い強引に混ぜ合わせるイメージでやっている。
木と金属とか混ぜられるのかな。
これ使い方しだいでは新素材作りたい放題ではないだろうか。
スキルを持っている人に聞いてみると魔獣の素材と金属とかは良く混ぜるらしい。
ただ、殆んどの組み合わせは脆くなるだけで意味が無いと言う。
魔獣の素材は研究され尽くされているみたいだ。
上手い話もなかなか無い。
帰りに商業ギルドで材料を仕入れて帰る。
帰ったら、フィオレラは既に戻っていた。
結果を聞くと落胆した様子で割れたと言われた。
「やっぱりか。魔鉄を買ってきたから、混合のアビリティで混ぜてみよう」
魔鉄は魔導金属の一種で魔力効率は悪いがとにかく頑丈だ。
そのまま混ぜると魔石が薄まると思う。
精錬してから混合する事にする。
三十センチぐらいの円盤の魔道具が出来た。
素足で乗ってみる。
ピーピーという警報を発し問題なく作動した。
ブーツを履き上で何度もジャンプしてみる。
凹みもしない。
この魔道具は地面設置型と呼ぶ事にした。
もう一度馬ゴーレムに踏ませて見る事に。
今度で駄目だったら、地面設置型は諦めようと考えた。
フィオレラは試験するために元気良く家を出て行った。
フィオレラが試しに行っている間にレーザーセンサ型魔道具の設計をする。
レーザーセンサはこの世界に無いので今度から鳴子型と呼ぶ事に。
設計が終わり、お茶を飲み休んでいたら、フィオレラが帰ってきた。
うれしそうな様子を見る限り大丈夫そうだ。
「今度はどうだった」
「大丈夫でした」
「これで一つ完成した。よし次は鳴子型だ。設計は終わっている」
魔道具を作り鉄串に固定する。
地面に刺し。受け手側の魔道具がレーザーを受けれるよう角度を調整する。
以外に難しい。距離を離すと角度のずれが広がった。
受け手側の魔道具の面積を広くする。
最初は太陽の光にも反応していたので赤い光のみ反応するように改良する。
何回か作り直し無事に鳴子型も完成した。
よし昼飯食べたら、魔弾の試験だ。
西の森に行き木に的を付け試験を開始する。
手始めに魔石の不純物から作った透明の弾丸を試す。
魔石の弾丸は鉛より軽い。
軽いという事は射程距離が短いということだ。
結果は思ったとおり大体射程五十メートルぐらいだった。
この弾軽くて威力がないから対人戦に使えるかも。
射程も分かったので魔弾を試すためにオークの領域に行く。
一人ではちょっと怖いがなんとかなるだろう。
魔力探知に引っかかったのはスチールビートルだった。
木々の間からのろのろと顔を出す。
てかった体がいかにも硬そうだ。
のそのそと近寄ってくる。
魔弾の試験にちょうど良い。
雷の魔弾を手始めに撃つ。
青白い軌跡がスチールビートルの間に引かれ。
閃光と共にバヂィというもの凄い音がした。
スチールビートルはピクリとも動かない。
麻痺しているのか。
少し接近して鉛の弾を何発か撃ち込む。
魔弾で死んでいたみたいだ。
スチールビートルは雷魔法に弱いのか。
それとも込めた威力が高すぎるのか。
魔石を剥ぎ取り、次の魔獣に向かう。
次の魔獣はソードタイガーだ。
ゆったりと歩く姿は肉食獣の貫禄がある。
やばい銃を当てれる自信が無い。
危なくなったら、威圧具の出番だ。
ソードタイガーはこちらに気づくともの凄い勢いで走ってくる。
最大限の攻撃を行う事にした。
爆発の魔弾を駆けてくるソードタイガーの鼻先の地面に打ち込む。
赤い光線が鼻先をかすめ、もの凄い爆発で地面が抉り取られる。
余波でソードタイガーにダメージが入った。
足が止まった今がチャンスだ。
レーザーサイトで狙いを付け鉛の弾を連続でぶち込む。
何発かは避けられた。
しかし、三発ぐらい当った様だ。
足を引きずっている。
止めは爆発の魔弾を当てた。
頭が吹き飛んだ。
さすが炎の槍五発分の威力。
魔弾は使える事が分かった。
満足いく結果である。
ただこの弾凄く高い。
一つなんと大銀貨五枚で日本円換算十五万円もする。
完全に切り札だ。
後作りたいのは貫通と風の刃と誘導の魔弾。
フィオレラがスキルを早く覚えてくれるよう期待したい。
取りあえず、また野営に出かけられるような準備は整った。
帰るとしよう。
「二人共、明後日から野営の訓練に出たいどうだろう」
「私は大丈夫です」
「問題ねだ」
「日程もこの前と一緒だ。明日は準備に当てよう。ローレッタ手分けして携帯食などを仕入れよう。フィオレラは魔弾を幾つか追加で作ってくれ。見張り用魔道具も幾つか作ってほしい」
「んだの携帯食は近所のばっちゃから美味しい店おへでもらったはんで任せでけ」
「はい頑張って作ります」
今度の野営はレーザーサイトが大活躍できればいいな。
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