第22話 貴族制度のことやら
第22話 デイミオン卿、演技する
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885843307/episodes/1177354054885856919
デイミオンは、シリーズを通してフィルのように直接リアナを守るシーンが少ない。どちらかというと権力者同士、似たものカップルな二人なのだけど、ここではリアナを守って見え見えの駆け落ち偽装をしたり、痛い目に遭ったりしている。こういうのもきゅんと来そうでいいな、と思って書いたのでした。
さて今回の修正点は、悪党くずれなお頭のジェムをちょびっと書き足し。前回語ったとおり、この誘拐話は軽めのお話なので、悪党どもも行き当たりばったりな感じを入れる。
たいしてデイミオンは周到で、こういった誘拐にはちゃんと備えている。ただ「メスメラン伯」という架空の貴族名を出しているが、リアナの世界に「伯爵」はないので、修正した。(ときどき忘れて出しちゃう)
五公十家と呼ばれる大領主から、商人や農民の名誉的称号まで、オンブリアでは「伯」などはなく、「卿」という敬称で統一されている。私が面倒だからじゃないですよ!
『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド 2012 草思社)によれば、人間の作る集団は小さい順に:
小規模血縁集団(バンド)/部族社会(トライブ)/首長社会(チーフダム)/国家(ステート)となるそうだ。
長命少子化でテクノロジーに疎い、ファンタジー世界で言えばエルフっぽい竜族たちの集団は、およそトライブ~せいぜいチーフダムくらいだろうなと思っていて、オンブリアの貴族階級もそれに倣っている。
王政というものが弱いので、封建制度も十分に機能しておらず、基本的にはバラバラな氏族たちが「竜王」「竜祖」という微妙に宗教的なトップを戴いている。そういうイメージで書いてます。
領主間の信頼関係も薄いので、お互いを領主貴族として信頼するよという意味での「卿」を敬称として使うことが多い。そういう設定がある、あるのです。(五公はまた別で、「公」という敬称はある)
このあたりの設定は、エレン・カシュナーのBLファンタジー『剣の輪舞』か『王と最後の魔術師』の影響ではないかと思うが、手元に本がなく、定かではない。
本来は第二部で、もっとこのへんの権力闘争みたいなものを書くつもりだったが、あまり出なかったので、忘れがちな設定。(←じゃ、なくてもいいんでは??)
あと、この悪党たちのなかに「ケブ」がいたのですが、この名前の男が三人目なので、さすがに紛らわしいと思って変えました。
リアナとルーイ、どちらの幼なじみも『ケヴァン』ですね。「普通の名前」へのこだわりが裏目に出て、やめとけばよかった……。
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