流れについての考察
@titeto
第1話 宝くじ売り場に見る日本人の「流れ」観
宝くじ売り場の前を通ると「平成25年サマージャンボ宝くじ この売場から1等2億円がでました」とか「過去に2等7000万円がでた売り場です」書かれた看板が掲げられていることがある。あの手の看板を見るたびに、なぜ、こんな何の意味もない情報をわざわざ喧伝しているんだろうか、と不思議な気持ちになる。
言うまでもないことだが、何らかの不正が行われていないかぎり、どのくじも当選確率は同じである。そして、それらのくじが日本中の売り場で売られているだけなので、どの売場で宝くじを買おうとも当選確率に違いはない。つまり、「過去にこの売場から◯等がでた」という情報は、単に過去の事実を述べているに過ぎず、これから先に起こる事柄に対して何らの影響も与えない情報である。
わざわざ金をかけて、意味のない情報を流すのは無駄じゃないかと思うけど、わざわざ金をかけて看板を作るという経営判断がなされている以上、それに見合う宣伝効果があるということだろう。つまり、(宝くじを買うような)日本人は、過去の実績が、これから先に行われる抽選に対し、何らかの影響を与えると信じているということだ。
どこの売り場でくじを買っても当たる確率は変わらない。変わる理由がない。ほんの少し、落ち着いて考えてみればすぐにわかる。しかし、多くの日本人はそこでちょっと立ち止まって考えることを拒否して、非論理的な「流れ」に身を委ねる。
本屋に行くといまだに「ナンバーズ必勝法」などというオカルト本が並んでいることを考えると、どうしても個々の抽選が独立した事象であるとは考えられない人が日本には多いようだ。
麻雀における流れ論も、この宝くじ売り場の看板と同じで、これから先に起こることには何の影響も与えない過去の事実を挙げているだけである。華麗な打ち回しで見事に和了したとしても、それは単なる事実であって、次局の配牌や自摸がそれで良くなるわけではないのだ。
なお、過去に高額当選が出た売り場では、再び高額当選が出る確率が高いと主張する人がいるかもしれない。しかし、それは単に人気の売り場では売れた宝くじが多いから、それに比例して当たりくじが含まれる確率も高くなるだけである。普通の売り場の10倍、くじを売った売り場では、当たりくじも10倍出る道理。
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