異世界爆裂転生記

甲斐

第1話

 みなさんは『異世界転生』というものをご存知だろうか。死ぬと異世界に転生するという主に小説で使われてまくっているあれだ。

 最近食傷気味の人が増えてきてるあれだ。


 これだけ異世界転生ものが溢れかえっているのは、物書きの中に異世界転生経験者が紛れこんでいるからだと思った事はないだろうか? 僕はある。

 何を隠そう僕自身も異世界転生経験者だからだ。


 ただし一言で異世界転生と言っても色々なパターンがある。

 神様が気まぐれや手違いで転生させるパターン、トラックに轢かれて気付いたら転生していたパターン、異世界の人に召喚されるパターン、エトセトラエトセトラ……転生と転移は違うと言う人もいるが今回は無視する。


 僕の場合は『死ぬと異世界に転生する』という割と基本的なパターンだ。字面だけは。

 しかし実際のところはこれがなかなか厄介で、僕の場合は死ぬ度に別の異世界に転生してしまう。

 中世ヨーロッパ風のテンプレ異世界に転生した時は隣国との戦争中に落とされた爆弾で死に、ゴリゴリのファンタジー世界に転生した時は魔法の練習中に爆裂魔法を誤射して死に、全てが四角いブロックで出来た世界に転生した時は緑の生き物が突然爆発して死んだ。

 他にも色々な異世界を渡り歩き死に続けた僕だが、何故か毎回爆発オチなのだ。逆に爆発以外で死んだ事がない。

 ラブコメ異世界でハーレムを築こうとした時も服を脱がされ身体中をリボンで巻かれた上に箱に詰められて、プレゼントはわ・た・し♡状態で物理的にリア充爆発した。


 でも今回の僕は一味違う。

 ダンジョンを探索している最中に爆発トラップを踏みそうになったが、踏む前にトラップの存在に気付いたのだ。今はパーティの仲間がトラップを解除している。


 しかしここで気を抜いてはいけない。今までの経験から予想される今後の展開は、

 ①トラップの解除に失敗。

 ②トラップの解除中に妨害が入りトラップが作動。

 ③実は爆発トラップが近くにもう1つある。

 の3つだ。

 ①は仲間を信じるしかないが②と③は違う。僕が気を付ければ阻止出来る展開だ。


 そんな事を考えているうちに早速ゴブリンが湧いてきた。トラップ解除中の仲間は背中がガラ空きなので狙われやすい。この背中を守りきれるかどうかが運命の分かれ道だ。ゴブリン自体はそこまで強くないがその内の1匹が弓矢を構えた。仲間はさっきからずっと「赤と青どっちを切れば良いんだ……赤……いや青か……?」とぶつぶつ呟いている。この世界は剣と魔法の世界のはずなのだが……深く考えたくはないが、今が正念場なのは確かだ。ここは僕の体で矢を受けてでも仲間を守らなければ……


「やっべ」


 ……今なんと? 今トラップを解除している仲間から「やっべ」という言葉が聞こえたんだが? これはまた爆発オチか? 爆発オチなのか!? そんなのは嫌だ! 今回こそ爆発以外の方法で死ぬんだ!

 といった内容を0.2秒間の内に心の中で叫んだ僕は爆発から逃れるため前方に飛び込んだ。ゴブリンが放った矢を肩に受けたが痛みを感じている余裕もない。飛び込んだ先にあるのは……爆発トラップ!? つまりあれか? 予想してた3つの展開コンプリートか? 流石に同時に3つは防ぎようがないって……


 もう爆発オチはこりごりだーーーー!!

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