みんなで作る、ストーリーの「面白さ」・コンセプト事典
かやのチノ
理論
はじめに
ストーリーの面白さとはなんでしょうか。ただの面白さではなく、ストーリーの面白さです。キャラの言うギャグが面白い、とか車や銃について詳しく書かれていて面白い、というのはストーリーと関係ないので除外します。
ストーリーは何かが変化するときに生まれます。ということは、面白いストーリーも何かが変化するものであるということです。例を挙げて考えてみましょう。氷が溶けて水になる。猫が公園で昼寝をする。面白くはありません。変化を起こすものは人(に類するもの)でないといけないようです。では、「僕」が朝、通りにゴミ袋を出す。これはどうでしょうか。やっぱり面白くはありません。変化とはなにか困難なことでなくてはいけないようです。まとめると、
人(に類するもの)が何か困難なことをする。
これが面白いストーリーには必須のものである、ということになります。
ここで一つの疑問がわいてきます。ストーリーの「面白さ」をすべて列挙することは可能だろうか? わかりません。わからないのでやってみようと思います。これがこの作品の第一の目的です。
第二の目的は、それぞれの「面白さ」についてコンセプトをできる限り列挙してゆくことです。コンセプトとはなんでしょうか。ぶっちゃけてしまうと、シナリオ作成におけるコンセプトと同じで、趣向、お膳立て、セッティングのことです。例えば「強敵を倒す」という「面白さ」に対して、勇者の息子/娘が王様の依頼で魔王を倒す、というコンセプトを用意すると、それはドラゴンクエストになるでしょうし、留守番の子供が不審者を倒す、ならホームアローンでしょう。コンセプトは「面白さ」をより具体的にしたものといえます。
それでは、例えば「子供が恐竜を守る」というコンセプトについて考えてみましょう。すぐに、現代に恐竜なんていないから、とか、何から守るの、隕石? とかツッコミたくなるでしょう。これに「タイムマシンを所有している」とか「恐竜を奪いに来る未来人がいる」という要素を加えて、はじめて説得力のあるコンセプトになります。「ドラえもん のび太の恐竜」ですね。前述のドラゴンクエストなら、勇者の子供だから王様が期待するのでしょうし、ホームアローンなら、自分の家でしっかり準備ができるから子供一人でも不審者を撃退できる。このように、ヒットした作品のコンセプトには説得力があります。
唯一無二のコンセプトを持つ作品もあります。例えば「過去に戻ったタイムトラベラーが自分が消えてしまうことを回避するために自分の両親の恋を仲介する」というのは真似したとたんにパクり扱いされてしまうコンセプトです。こういうのをハイ・コンセプトと言います。構成要素を他のものに置き換えることができない、ということがハイ・コンセプトの特徴です。
さて、「はじめに」はこれで終わりですが、本文を読む方は、知っている小説・映画・漫画などについて、以下に当てはまるコメントを一つ、必ず残してくださいね。
-未出の「面白さ」(ここのコメント欄にお願いします)
-未出のコンセプト(該当する「面白さ」に)
-コンセプトに当てはまる作品名(該当する「面白さ」に)
-議論も歓迎
……冗談です。できたらでいいですが、他の人の役に立ちますし、既存作品からコンセプトを抽出することは勉強になりますよ。
あげる際はネタバレ防止のために固有名詞と結論やオチはぼかしてください。
それではよろしくお願いします。
●蛇足
物語について六個とか三十一個の類型がすでにあります。前者は物語の盛り上げ方について、後者は物語の構成についてであり、「面白さ」とはまた違った観点です。
「面白さ」を取り入れて書けば必ず面白いストーリーになるわけではありません。逆に「面白さ」を一つも含まない作品のストーリーは例外なくつまらない。そのような一覧を作成するのを目標にしています。
「面白さ」を追求した結果、主人公が失敗する作品は面白くないのか。そんなことはありません。「面白さ」を追求すること自体が作品の面白さを生み出すのであって、成功か失敗かは関係ありません。
複数の「面白さ」を持つ作品は少なくありません。むしろ良い作品は最初の「面白さ」からストーリーが進むにつれ、別の「面白さ」へ発展してゆくことが多いです。
=====2019/4/2追加(開始)=====
「面白さ」とは目的ではないか、と思われる方がいるかもしれません。多くの場合は被っているようですし、目的と考えた方が理解しやすい場合も多いです。しかし主人公の目的と「面白さ」が違っている場合も多いです。例えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」なら主人公の目的は未来に帰ることですが、「面白さ」は両親の仲を仲介することです。よってカッコ付きの「面白さ」という単語をわざわざ作っています。
=====2019/4/2追加(終了)=====
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