第13話──落ち込んでるような落ち着かないような。

 メンヘラってほんとめんどくせぇ……治れよ……なんで薬飲んでるのにこんななんだよ……もう疲れたよこんなんで生きるのやだよ。

 この前みたいに今すぐ死にたいまでは急降下してはいないけど気が重くて泣きたくて仕方ないのに涙は出なくて、同時にひたすらに落ち着かなくて歯ぎしりをした痛いくらいに頭をがりがりしたり無意味にスマホをいじっている。自分はいったい何に縋っているんだろう。ああそうかこれが心細いって感情か。もしかしたら。

 好きな音楽も深呼吸もあったかい飲み物も何もかもなんの役にもたたない。薬すら役に立ってる気がしない。でも服薬をやめるのはこわい。ただでさえ悪いのにもっと悪化しそうな気がするから。少なくとも眠剤なしで眠れる気は全くしない。だって『なにもしなくても自然と眠くなる』なんて感覚もう何年も感じていないから。そんなものはもうとっくに忘れたから。

 いったいどうやったら自分は普通になれるんだろう。普通なんて昔から、それこそ初めからきっと持ってなかったんだろうけど。このままずっと薬無しでは眠れないままなんだろうか。それって煙草やお酒の依存症とどう違うの? 考えると怖いけれど同じくらい馬鹿みたいだとも思う。不経済にも程がある。情けない。

 自分はいつまでこうやって壊れたままなんだろう。でも初めから壊れてたんだろうなとも思う。だから発達障害は障害なんだろうって。治らないから障害なんだという定義を何かを調べたときにどこかで知った気がする。

 治るってなんだろう。どういう状態なんだろう。うつ病は治るはずだけど、治った自分が想像つくかと言われるとそんなのさらさら無い。うつ病は完治じゃなくて寛解だからやっぱり治らないのかもしれないけど。ならそれって障害とどう違うの? 死ぬまでこの苦しみを抱えなきゃいけないの? それって生き地獄って言うんじゃないの? なんで生きてるの? なんで生きなきゃいけないの? 生きる意味も理由も価値も必然性も希望もなさすぎる。

 安楽死制度早く実装すればいいのに。それで救われる人間は絶対にいるのに。その存在があるだけでも救いになる人間は絶対にいるのに。他の誰かに勝手に始めさせられた生きるってことを、他の誰でもない自分によって任意に終わらせることができたなら、それってどれだけ心が軽くなることなんだろう。それを自分で選べるだけでもきっと違う。無理やりにでも勝手にでもなく自分の意志で選べたらどれだけ気持ちが楽になるだろう。想像しかできないけど、想像するだけでも少し気が楽になる気がしなくもない。

 でもまあどうせ万が一億が一にでも安楽死制度が施行されても、メンヘラは対象外になりそうだけど。精神的苦痛だって、心身に耐えがたい重大な苦痛がある、とか、苦痛を緩和する方法も存在しない、とかに当てはまるのにな。

 なんか考えてたら楽になるどころか胸がむかむかしてきた。眠剤早く効かないかな。

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