短編

白月 子由

異世界ハンバーガー物語

目が覚めるとそこはハンバーガーで溢れた世界だった。


私の意識が途絶える前、それは確実に日本にある自分の家で、二階の寝室で、グレーの寝巻に着替えて布団に入ったのは記憶に新しい。

ではなぜ自分は見慣れた寝室にはおらず裸足で外に突っ立っているのだろうか?


もしこれで住んでいるところが中国だったら?さもありなん。ありえる。爆発が日常と化したあの国は何が起こってもおかしくはない。中国に住んでいたならこの目の前の光景を納得できただろう。


では寝たのが一階であったら?ありえなくはない。自分の家は地下帝国と繋がっていて地底人が私を攫いこの世界に連れてきたのだと。いまだ生き物の新種が見つかる現代。納得はできる話である。


では寝巻なんて着ておらず布団にさえ入っていなかったら?私は死後の世界など信じてはいないのだが、裸で布団にも入らず寝たため凍死。死後の世界があるとするならばハンバーガーに溢れたこの死後の世界を受け入れるだろう。


しかし自身の昨日の記憶すら信じられないのならば私の事に関して何も信じられなくなってしまう。

では自分の事に関して何も信じないとしよう。ならば話は簡単になる。

目の前の現実もすべて嘘なのである。

きっと自分は今までどこかおかしい頭のネジが二、三本外れた人間で(使用した記憶はないが)危ないお薬、世間的に言う違法薬物を現在進行形で服用している状態なのだと。そうとなれば納得だ。やっと現実に目を向けられるというものだ。

改めて今の世界に目をやると鬱蒼とした森の中、遠方に馬にまたがった何十個ものハンバーガーがいるではないか。あまつさえ理性があるように馬を操りどうやらコミュニケーションを添っている様子。私がハンバーガー大好き人間だったとは驚きだ。

ここで二つの選択肢が出るわけだ。接触を図るべきか否かだ。もし頭のネジが外れていない人間で判断能力があり、自暴自棄になっていない人間ならばきっとあの怪しい集団には近寄らないだろう。ただこの場合においてはそうではない。

私は頭のネジが外れていておまけに薬物服用している人間。目の前の物事を信じてはいけない。どんなに醜い姿の自分でもこのままでは薬物の副作用で死んでしまうの可能性があるのだ。ならばあの人間だと思われるハンバーガーと接触さえできればごく自然な流れで警察、あるいは救急車を呼んでもらえる。私は一直線に彼らのもとへ走り出した。


Twitterで見かけたネタ。

続きはないです。

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