第3話 王女の花嫁姿
翌日、王都で一番の大きな結婚式場で中には高名な貴族達が、外にも王女が勇者と結婚という事を聞いて広場に溢れんばかりの人がいた。そんな中、
『サトウカズマさん、貴方はアイリス様を妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。汝、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?』
神父が俺がこの世界に来る前は聞かなかったであろう言葉を口にした。その瞬間、騒然としていたギャラリーは静かに俺達を見守っていた。
『はい、誓います。』
『…よろしい。』
『アイリス様、貴方はサトウカズマさんを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。汝、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?』
アイリスは声量は小さいが元気がある様な声で
『はい、誓います。』
『…よろしい。』
俺はやっと終わると思っていて安堵していたが、神父の次の言葉を聞いて動揺を隠せなくなった。
『…では、誓いの口づけを…。』
……は?いやいや、今?ここで?
下手したら国民全員が見ているようなこの場所で?
『……まじすか?』
『…はい。』
と、小声で聞いて小声で返された。
…うわ、どうしよ。急に恥ずかしさが襲ってくる。てか、アイリスも顔真っ赤じゃん!キスをすると分かっていてもこんなにギャラリーがいたらいくらなんでもやりにくいよな。けど、皆が期待している中、誓いの口づけはここではしません!になったら後で何されるか溜まったもんじゃねぇからな。
…あれ?これアイリスと口づけするしか俺が(ある意味で)生き残る道無くない?………ああ、もう!こうなったらもう吹っ切れてやる!
『…ア、アイリス。』
『な、何でしょうか?
お、お兄さm……!』
俺はアイリスと接吻を交わした。
柔らかくて、それでいてちっちゃくて
なのに暖かい、そんな感じだった。
…要するに……良かった。
皆が歓声を上げる中、
『私は世界で一番の幸せものです!』
アイリスの声だけはしっかり耳に届いた。
誓いの口づけが終わった後俺は白いスーツを着たままパーティーに参加していた。勿論アイリスもウェディングドレスを着たままだ。
『カズマ、アイリス様をよろしく頼むぞ。もしアイリス様の身に何かがあったらすぐに私を呼べ。全速力で迎えにいく。』
『カズマ、私からもアイリス様をよろしく頼む。仮にもお前は勇者だ。例え敵襲が来ても守ることは出来るだろう。だから、その、なんだ?偶にはこっちにも顔を出してくれ。』
『クレアにダクネス!クレアに関しては、アイリスが危ない目にあったら真っ先にあんたを呼ぶことにするよ。
ダクネスに関しては、偶には帰るからその時はご馳走を頼むぞ!』
『ああ、よろしく頼む』
『ったく、お前はいつになっても
変わらんな…。』
と、会話をしていると
『めぐみんさん!私、カズマさんと
結婚する事が出来ましたよ!これからは私がお頭ですね!』
『な、いくら男と結婚したとしても
下っ端は下っ端に変わりはありませんよ!』
『でも、私はお兄様とキスもして
正真正銘の家族となったんですよ?』
『だから、結婚したのならカズマの呼び方を変えるべきでしょう!私はカズマのことを兄と呼べますが、貴方はもう結婚した身、カズマの呼び方を変えるべきです!』
『そうですか……なら、……でどうですか?』
『…まあ、それが定番でしょう。』
また、言い争ってるな、いい加減仲直りしたらいいのに……。俺はアイリスとめぐみんの小競り合いを見ているとチョコチョコとアイリスが俺の方へ近づいてきた。
『ん?どうした?アイリス。』
『え、えと…あ、あなた…』
『………え?……』
いや、ちょっと待て、結婚しているから妻が夫に「あなた」というのは普通か…だけどもね!?こんな金髪碧眼
幼女にいきなり『あなた』と言われると嬉しさで溢れるが、すこし抵抗がある。今まで「お兄様」や「お兄ちゃん」と呼ばれてきていたからその呼ばれ方に慣れていた。ただそれだけだ。だが、慣れすぎてたが故に「あなた」と言われた後の抵抗が無かったんだ。
ただでさえ「お兄様」で緊張していたのに、これからは「あなた」という呼び方に耐えないといけないのか〜。
……たまにでいいから「お兄ちゃん」と呼んでもらえるようにしてもらおう……。
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