これもまた、良きかな・・・

勝利だギューちゃん

第1話

魔法使い。

童話の中だけの存在。

実在しないのは、わかっている。


でも、時には神頼みしたくなるのも人情。

魔法使いは、神ではないのだが・・・


白い紙に、それらしく魔法陣を描いて、唱える。

呪文は・・・知らん・・・


「魔法使い、いたら出てこい。そして、我が願い叶えたまえ」

なんてね・・・


「呼んだ?」

魔法陣から、ひとりの女の子が現れた。

いかにも、魔法使いという服を着ている。


僕は、腰を抜かした・・・


「な・・・な・・・」

言葉に出ない。


「私を、呼んだのは、あなた?」

「君は、魔法使い、本物?」

「うん、見習いだけどね」

「見習い?」

「うん、魔法使いには、階級があるの」

「階級?」

女の子は、ご丁寧に説明してくれた・


「見習いから始まって、前座、二つ目、真打ち、わかった?」

「落語家ですか・・・」

「よく言われるよ」

「でも、どうして見習いが来たの?」

「あなたみたいな若い子は、私のような子で十分」

「失礼な」

だが、女の子は笑いながら答える。


「魔法使いはね、前座でも30歳、二つ目でも、40歳は超えていて、真打ちとなると60歳は超えている。

ベテランの真打ちになると、さらにおばあさんだけど、その方が良かった?」

「・・・いえ、若い君で・・・いいです」

「よろしい」

女の子は、ふんぞり返る。


「で、願いは何?」

「願い?」

「うん、だから私を呼んだんでしょ」

「確かに」

忘れてた・・・


「で、願いは?早速言って」

そういえば・・・

「考えたなかったとはいわせないわよ」

「いえ、もちろん決まってます」

心を読まれてた。


「じゃあ言って」

「君に、ずっと僕のそばにいてほしい」

漫画のような事を言ってみた。


却下されると思っていたが・・・


「OK」

「いいの?」

「うん、私も魔法使いの生活にはうんざりしていたからね」

「はあ・・・」

魔法使いも現代っ子か・・・


「私は、リサ、あなたは?」

「僕は、真・・・荒手真(あらて まこと)」

よろしく面倒みてね。真。


リサは微笑む。

「よろしく、リサ」


結局、リサは僕がおじいさんになって死ぬ80歳まで、そばにいた。

でも、リサは歳は取っていないが、気にしないでおこう。


まあ、いい人生だったな。

「ありがとう、リサ」


・・・で、これで終わりではなく・・・


天国にて・・・

「真、ここが天国よ」

「リサ、どうして?」

「ずっと、そばにいてほしいと願ってでしょ?死ぬまでなんて聞いてない」

うかつだった・・・

でも、これからも楽しめそうだ・・・


真とリサは、天国で、今でも幸せに暮らしていますとさ・・・


めでたし、めでたし・・・

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これもまた、良きかな・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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