研究魔、修行編を始める
ということで、修行編、始めました。
まあ、修行と言っても0歳児に何が出来るって話ですが。
とりあえず、身体の強化は健康な身体の構築から。
健康的な身体の作り方は、睡眠、食事、運動。これが重要。
まずは睡眠。
確か、生後六ヶ月の睡眠時間は十二時間くらいだから、プラス二時間ぐらい寝ておこっと。
よく寝る子は良く育つってことで。
次に食事。
乳製品は当然として、離乳食の内容も考えなきゃ。
木の国だからなのか、離乳食の内容が野菜ばっかりなんだよね。お肉とお魚がすくないです。
草食系国家?
さて、野菜でタンパク質っていうと、やっぱり大豆かなぁ。カルシウムが取れるし。
それっぽい食材が出たら笑顔満面猛アピールしよう。
で、お魚がでたら最高って顔をしよう。青魚は健康にいいからね!
そして、運動。
寝ていても出来る腹筋とか背筋のトレーニングと、長時間ハイハイによる持久力トレーニング。それから歩行のための立ち上がり訓練。
出来ることが増えてきたら、トレーニング内容を増やしていこう。ヒトと同じなら筋肉構造も同じはず!
前世ではできなかった逆上がりとかバック転が出来る身体にするんだ!
……あれ? 結構地味?
いやいやいや、私、まだ0歳。こういう身体の基礎は地味でいいのです。
これらはあくまで私の楽しい研究ライフのための礎なのだから!
後日、むーちゃんから『運動しすぎ 骨格の成長を阻害する気か』と怒られました。やり過ぎたようで……。
そういえば、お兄様、天才でした。もう、ザ・ジーニアスって感じ。天才・オブ・ジ・イヤーだよ。
なんとハイハイ事件の顛末だけで、私が言葉を理解していることを突き止めた賢才っぷり。
しかも、文字を習得したいってことも分かってたし、なんでこんなに推理能力高いの? 想像力ありすぎでしょ。金○一かッ!
いやーしかし、身内に理解者がいるっていいね。前世なんかおじいちゃんに会うまでは変な子扱いだったし。あれもなかなか黒歴史……。まあいっか。
ただ、理解の方向が『【古き樹の民】ならそうかも』っていう推論だったのが異世界っぽかったけど。
ということで、私はお兄様から文字を習得しました。
早速習得した文字でお兄様への感謝を書いたら、涙ぐまれたけど、なんで?
とりあえず、これで私も意思伝達方法を習得っと。お兄様から妙に重いノートもぶんどりました。ふふふ。
あと、【霊素】操作の修行も怠ってません。夜寝る前に『エレメンタルハンド』でモノを掴み、ぐいぐい動かして、シャットダウン寸前まで繰り返す。
お陰で、結構重いものも浮かべることができるように。あの重い本も楽勝だよ!
それと、お兄様が言うには、【霊素】も【術】も知力と精神力が必要とのこと。
知識を貯めれば貯めるほど、精神を鍛えれば鍛えるほど、体内で扱える【霊素】の量も、発動した時の【術】の効果も上がるらしい。
なるほど、INTとMNDを上げれば魔法は強くなるよね。RPGっぽい。
『何故ですか?』
「何故と聞かれてもわからないな」
お兄様も私の問いに顔をしかめる。
「知力、精神力の効果も常識、経験則として認知されているものだからな。考えたこともなかった」
考え込むお兄様。イケメンが眉間に皺を寄せながら考えるのって、絵になりますね。
「改めて考えてみると、おかしいな。そもそも知力とは、精神力とはなんだ? 【霊素】とどう関係がある?」
わーお、お兄様も私と同じタイプな気がするよ! これは研究者としての第一歩を踏み出させないと!
その洞察力、もったいないもんね!
『そうなんですよ。謎でしょう? 気になるでしょう? 知りたくありません? 研究しましょ?』
「好きだなぁリンカは。しかし、今は研究より勉強だ。過去を学ばないと未来は語れないからな」
そういって、お兄様は私の頭をぽんぽんと優しく撫でた。ちぇ、誘導失敗したかぁ。
それにしても、こっちでも『賢者は過去に学ぶ』って名言あるのかな。
私はこくりと頷き、手元で広げている本を読み進める。
今読んでいるのは、この世界、【エスラトウス】の歴史をまとめた本、「エスラトウス略史」だ。そのまんまである。
その「エスラトウス略史」は、こんな一文で始まっていた。
『エスラトウス——永き果ての海と、無数の島、そして、白き枝葉に覆われた世界。
神話の時代、神々の戦いがあり、世界は見えぬ果てとなった。
霊樹の時代、神の亡骸に一つの樹が芽吹いた。
霧魔の時代、霧の魔物に世界を奪われた。
英雄の時代、英雄達によって世界が救われた。
探記の時代、探測者達によって世界の果てが示された。』
やっぱり、この世界は思ったよりもファンタジーだった。
前世の研究テーマが思いっきり歴史に書いてあるし! 神死んでるし!
というか神霊樹って神様の遺体から生えてるの?
霧の魔物? 英雄達が倒したのかな。
探記時代ってなに! うわー研究者としては気になるね!
たった一文だけで疑問と興味は尽きないけど、それはともかく、「略史」を読み進めていこう。
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