オダハルナの野望

島草 千絵

第1話 ゼロからのスタート!


「もー!!! むかつくむかつくむかつくむかつくむかつく!!!!!!!!」



まるでおもちゃを取り上げられた子供のように地団駄を踏み騒ぐ少女。その度にトレードマークのポニーテールが縦横無尽に暴れ回る。



「なんで! また! 負けるのよ!!!」



「しょうがないですよひぃさま、相手があの『氷帝』でしたし。逆によく五体満足で逃れられたと言うべきですよ」



そんな暴れ馬尻尾ポニーテールの攻撃をかいぐぐり、癇癪を起こしている少女を必死でなだめる少年。彼の名はスガヤ マササダ、代々オダ家に使える重臣であり、またハルナとは幼少の頃よりの仲でつまりは幼馴染である。一見頼りなさそうに見える彼だが数々の死線をくぐり抜けてきた勇将だ。そして彼が姫さまと呼ぶ少女こそかつてバンドゥー地方八家に数えられたオダ家の現当主、オダ ハルナであった。



「そもそもなんであいつがバンドゥーにいるのよ!! 将軍さまに呼ばれて上洛してるんじゃないの!!!」



「まぁ上洛もそうですがそれと同じく内政の方も大事ということは氷帝殿も分かっていられるでしょうからねー。仮にもバンドゥー守護を朝廷から任されてる訳ですし」



「ぐぬぬぬ………!」



「何はともあれまた城なし生活に逆戻りですね。姫さまの覇道はいつ達成されるんですかねー」



「くそぉ!!! 今に見ておれ!! 私は絶対、天下を統一させてみせるからなぁぁぁぁ!!!」




















ここは戦国乱世の日本

とよく似たとある世界



かつて都のあったバンドゥー地方にはバンドゥー八家と呼ばれる名門の家があった。それらはバクフ側近の有力な家臣達でその家系は何百年もバンドゥー地方で大きな力を持った。しかし、時は戦国乱世、強者つわものがのさばる群雄割拠の時代にあってバンドゥーの古豪たちは新しい波に飲まれバンドゥー地方での影響力を徐々に奪われ衰退の一途を辿っていた。そんなバンドゥー八家のうちの一家、オダ家も例外ではなく時代の波に飲まれその存在は既に風前の灯火であった。滅びゆくかつての名門を立て直そうと立ち上がったものこそオダ家現当主、オダ ハルナである。彼女はかつての威光を取り戻そうと積極的に他勢力に侵攻、とても勇ましく戦ったのだった。









それはだけで誰もとは言ってはいない……………。












オダ ハルナに戦の才能は全くと言っていいほどなかった。挑む戦いに連戦連敗、ついには自分の居城まで奪われる始末であった。

こうしてかつての名門、オダ家は滅亡…………かに見えたのだが、本人のやる気の炎はまだかき消されてはいなかった。










「ともかく! まずは城を取り戻すよ!! なんとしてでも!! 天下統一はそこからよ!!!」



「はぁ、家臣としては姫さまがそう言うならどこまでもついて行きますよ」




こうして戦下手な最弱戦国大名とお付の少年の天下統一の物語が始まったのである。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る