第45話 黒瑪瑙
黒瑪瑙の外殻の内に
鉄礬柘榴の点を添えて
紅炉上一点の雪と嘯きながら
溶けぬ柘榴を握りしめる
柘榴が紅炉ならば雪とは何だろう?
理性と呟く脳裏を騙し、騙し
溶けぬそれに安堵し、辟易し
今日もまた黒瑪瑙を愛でる
鉄礬柘榴の熱を
紅炉上の雪を溶かすそれを
後生大事に抱えながら
また一つ、雪を降らせて
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