第34話 キス

探していた寄せ植えを抱えて

君は上機嫌に笑う

「日暮れの前に帰ろう」


日の落ちた橋の上

街頭に呑まれる助手席で

「私たちみたいな人間はどう生きたらいいの」


ものの二分で着いた家の前

楽しかったと笑顔で

またねとキスを交わして

寄せ植えを抱えてゆく君を見送る


僕達のキスを

こんなにも悲しくさせたのは

一体誰なのだろう

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