第28話 飛翔の咎

「何を当たり前のことを言っておる?

貴様らに翼は与えておらぬ。

しかし貴様らは飛ぼうとした。

それを貴様らは確かに成し遂げた。

イカロスを忘れたか?

林檎を食べた白痴め。

歴史を学ぶ智慧すら無くしたか?」


「我々は貴方に近づきたかったのです」


「思いあがるな。

貴様らを見下ろすは我々のみよ。

同等の魂を見下ろす愚かな者よ。

見上げる先に映る翼は我らのものではなかろう。

貴様らの目に映るのは貴様らの魂也」


「我々は貴方を常に賛美しております」


「たわけめ。

誰が賛美など望もうか。

貴様らにはただそこに在れと産んだに過ぎぬ。

それすら出来ぬ愚かな魂よ」


「我々は愚者であります」


「愚者で在れば、我は貴様らを側に留めおいたろう」


「我々にどうしろと仰るのでございますか」


「何もせずともよい」





「黙して堕ちよ」

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