第13話 冬夜朧月

冬空よ

澄み切ったその空よ

万人を照らす明るき月よ

星々の、幾千年を隔てた遠き輝きよ

我が冷えた身体の吐息とも

汚れた煙草の煙とも知れぬ

真白な漂いがそなた等を覆い隠すとき

その朧なる

何とも知れぬ神にも似た

何者にも得られぬ気高さよ

自然の美の神髄たる

澄んだ大気を穢すことを赦したまえ

我、その中にこそ美を見出し

そなた等の完全なる美に

僅かばかりの供物として『言の葉』を捧げんとす


我が病んだ吐息、我が悪癖たる愛煙よ

願わくば我が『言の葉』に

頽廃を極める人間の美と

全能たる自然の美を

相反せずに讃える力を与えたまえ

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