第23話 運命
『愛人ー、愛人ー?』
僕を呼ぶ声がする。目が覚めると見覚えのある顔がある。
『あんた、いつまで寝てるの?今日退院でしょ?』
母親だ。いつものようなガミガミ声で僕を起こしてきた。病人なんだからもう少し優しくしてくれればいいのに。そんなことを思いながら僕は退院の準備をして隣町の自宅まで母の車で帰る。帰りの車、僕はふと思った。
『ねぇ母さん、僕ってなんで入院したんだっけ?』
『もう冗談やめてよ、一昨日急にお腹痛いとか言い出したのはあんたでしょ?急にお腹抑えて倒れ出すからびっくりしたんだからね?』
へぇー。なぜか自分のことなのに覚えてない。まぁいいか。僕は自宅に帰り当たり前の生活に戻った。起きたら朝ごはんを食べ学校に行った。午前の授業を終えた僕は昼ごはんを食べるため友達と中庭へ行く。
『なぁ愛人、今週の日曜日映画行かね?』
友達が遊びに誘ってきた。
『んーいいよー、映画のあとはどっか行く?』
『カラオケとかでいんじゃね?』
そんな大雑把な予定を立て僕達は昼ごはんを食べて教室に戻りまた授業を受けた。帰ってからお風呂に入って晩ごはんを食べて勉強をして寝る。そんな普通の高校生を僕はしている。だが何かが足りない。なにか大切なものを忘れているようなそんな気がすることがよくある。考えてみるけどなかなか思い出せない。
『鈴ー起きなさーい』
1階から私を呼ぶ声がする。寝ぼけながら私は階段を降りて朝ごはんを食べる。身支度をしたら学校へ向かい勉強をしてそのあとに部活をして家に帰る。お風呂に入って晩ごはんを食べて少し勉強をして寝る。そんな当たり前の1日を終えようとしていた時友達から電話が来た。
『もぉ、こんな遅くに何よ』
少し眠かったため私は不機嫌だった。
『そんなに怒らなくてもいいのに、ねぇ今週の日曜日空いてる?よかったらさ映画でも見に行かない?』
『んー、まぁいいよー』
『わかった予定は決めとくね!おやすみ!』
特に断る理由もなかったし早く会話を終わらせたかったから私は特に何も考えず適当に返事をした。あれ、そういえば私何か忘れているような、何か忘れちゃいけない大切な者...まぁいっか。思い出せそうになかったので私は寝た。
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