第69.5話 ある部屋での二人
――おい……おい……
暗闇の中で、何者かの声が聞こえてくる。
その声に意識を向けると光がこちらにやって来た。
寂しそうな天井。
ブランドンは布団に包まれていた。
全身は包帯で絡まっている。
左に顔を向けると傾いた日を照らす空が見える。
右に顔を向けると、声の主がいた。
「何でここにいるんだ?」
「そっちこそ、どないしたん?」
「俺は今日、すげえ忙しかったんだ」
「俺だって忙しかったわ」
「どうせ馬車にでも撥ねられたんだろ」
「自分こそ、しょうもない理由で運ばれたんやろ。食い過ぎて当たっちゃったんとちゃう?」
「この怪我で、どうやって食あたりになるんだ」
「俺も忙しかったんだ」
中身の無い会話が響く。
そのうち部屋からは、枕が飛ぶ影が映っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます