発達障害と私

楸 梓乃

第1話 はじめに

世の中にはいろんな人がいる。

優しい人とか怒りっぽい人とか、泣き虫な人とかやたら前向きな人とか。

そういう感情の数えきれない要素が組み合わさって、ひとりの人間というものは構成されていると思う。


けれど、その感情が偏っていたらどうなるか。

たとえば、やたら泣いている人。

その人は何なのか。


私は注意欠陥・多動性障害とアスペルガー障害という発達障害の診断を受けている。

簡単にいうと、不注意が多かったりちょっとしたことでカッとなったり、自分の世界に浸りやすいということだ。

もちろん個人差はあるので鵜呑みにしないように。


『発達障害の人は知能が高く優秀な人材が多い。だから環境さえ整えてやれば健常者以上の力を発揮できる』


『発達障害の人の個性を生かした環境で働かせてあげたらいい』


そんな言葉を耳にすることが増えた気がする。

じゃあ聞きたい。


知能が人並みな発達障害者はどうすればいい。

これといった個性のない発達障害者はどうすればいい。


世の中にはいろんな人がいる。

怒ったり泣いたり笑ったり。

でもそれが過剰だったり過敏だったりしたら、周りから疎外され、日常生活をまともに送れないこともある。


それは私のせいなのか。

欠陥品の私のせいなのか。

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