転生者にお水をあげて栽培インフェルノ
ほねうまココノ
第1話 ことのはじまり
「ねえねえ、チート持ちの
ラストダンジョンの終着駅とされる
見上げれば、天の空はいずこへか。
見下ろせば、青白くかがやく
そしてこちら八丁目には、
かような
「うーん、ゴブリンといえば子鬼……。子鬼といえばアタシも同族だよ?」
「ファルファたんは羽があるからゴブリンではない。別種の小悪魔に
「うん。しってるー」
楽しげに肩を揺らすことで体のラインがあらわになる、
まるでウツボを
「アタシおしごと中だけど、ギャラが弾むなら三種まとめて連れてくるよー」
「え、っと……ギャラは、おいくら?」
「くれるの?」
「あげない、けど、あげたら何に使うつもりかは気になる」
「う~ん、お城でもたてよっかなー」
「びゃっ!」
地獄の八丁目五番地には、マレブランケと呼ばれる小悪魔たちが住みついていた。なかでもファルファは、赤いリボンで
彼女らは仕事につかう
おしゃべりファルファは語りやまず。
「しっかしゴブリンってば、人間と仲良しさんかとおもえば、強引にむしゃぶりつくチャラメンもいるし、ピカピカ大好きな幼女もいるし、もうゴブリンっていったい何なのさーって、このまえ話題になってたよ?」
「ほへー」
なまけ声の主は、
身なりは、黒くつやのあるワンピースなれど、つるつるではなく、つるぺたでもなく、
やや長い赤髪のすきまから、うねりある
「じゃあ、ゴブリンは戦車で
はるか昔、天界で最も美しいとされていた
もう
ルシフェルは、地底でひそやかに暮らしはじめた。
マグマがやたらめったら熱かったので、
そしたらフラグが立った。
地上から、チート能力持ちの転生者がひっきりなしに
ルシフェルを守る転生者
ただし、ふられ系ヒロインだけは
血みどろのたたかいは、星の命すら
ルシフェルは、
よくある
だいたい
地獄の
「あれだけ転生者に追い回されて、えっちぃ
「うん、それね。水晶玉で異世界をしらべてたら
「アタシにも、その水晶玉かしてよー」
「ごめん、リビッコにかしたら
リビッコとは、十二匹いるマレブランケのうち一匹であり、ぼさぼさ頭がワイルドなお姉さん鬼だ。彼女は、水晶玉に映る異世界のなかでボーイズラブなる
すぐさま
「そっかー、リビッコは怒りん
「それね。この地獄が
「うん」
「そしたら、ひまで、ひまで、ひまがすぎると死ぬって
「ルッチーが死ぬとアタシこまるよ! 泣いちゃうよ?」
「ありがとう。でも、ひまで死んだ
「ほっほー」
「せっかくだし
「えーっ! ちょ、ちょっとルッチー!?」
前のめりにおしりを玉座からもち上げたルシフェルは、
ルシフェルは、まばたきひとつせず、口は半開きのまま。
「いま、この地獄は、
「うんうん、ふえてる。ふえるペースは落ちたけど、そのせいで
「たぶん、ディアナのお気に入り
「ほっほー、で、どうするの?」
「
「……ん、ん? その心は」
「推しメンが、おバカに改造されて帰ってきたら、絶望するでしょ」
「ルッチー、表情ないのに悪どいこと考えてたのねー」
「だって、悪魔大王だもの」
「そうねー。ひまで死んじゃった大王さまだけど」
地面に横たわった大王を
ぐ~るぐる、ドーム状の
中から一玉みつくろって、二叉なトゲで水面下をじゅぼっと
にょい~ん。どろ~り。
メロンあらため、
右へ、左へ、罪人をふりまわす。
いったん動きを止めて、ちらり……、大王は、しかばねのままだ。
こんどは、罪人を岩場にこすりつける。
じょりじょり、ゴリゴリ。
二叉から首がぬけた。
ふぅ……、おでこの汗をぬぐうファルファ。
「死んだ罪人には、今みたいな
「ぐ、ぐぬ……」
死んでいるはずの、大王のまゆが動いた。そして、
「罪人とは、神に
「神はさっき死んだよー」
「あびゃっ……」
追い
「で、スライムはどうするの? 焼けたほっぺに冷え冷えぴったんこする?」
このあたりは、天然アスファルトが蒸気をあげている
「スライムは、腹芸でつかわせる、水」
「ルッチー、それ
「……ハッ!」
終戦。ファルファは、地面に
ルシフェルは、話をそらした。
「ファルファたん、今日もいいしごとっぷり。おつかれ」
「えっへへ~、これがアタシのお役目だからねー。って、ルッチー、そろそろ本気で起きなよ。ほっぺが黒コゲだよ?」
「……いま、死んでる」
「わかったし、もう、コゲくさいから生き返って」
「生き返ったら、私も転生者だよ?」
「うざっ! っていやいやいや、死んで生き返るのはただの
「ファルファたん、ごはん食べたから元気いっぱいね」
地獄に住まう悪魔たちは、罪人をしばくことにより、
「き、き、き、きんきゅうじたいだぞぉぉぉぉー!!」
たいまつが
ファルファが
「あの声は、ケルビっちかなー?」
「ふむ。だとすると、現れたのかも、ネギしょった
「地獄の耳はうわさ好きね~。アタシは子鬼だし、おにごっこはチョー
「うん。や、まって、念のために、ほかのマレブランケも呼んできて」
「よっしゃー、まかせといてっ」
栽培用の
転生者おにごっこは
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