姫魔王と変態透視魔。
「……ふむ? 心なしか女性色が強くなったね。君の身体の中には複数人数が同居しているのかい?」
「何言ってるのかさっぱりよ」
「多重人格……とは違うのかな? 興味深いね」
「あんたなんかに興味持たれてもまったく嬉しくもなんともないわ。透視魔の変態だし」
やっぱり心の色だかなんだかしらないけど覗き見されてるみたいで気分悪いわ。
「まったく女という物はちょっとした事でギャーギャー騒ぐ物だね……。どうしてそういう所ばかりいつの世も変わらないのか」
やれやれと言ったふうにザラが肩を落とした。
どうやら以前にもそういうトラブルがあったという事だろう。
結局セクハラ野郎っていうのは無意識にセクハラし続けてるって事なんだろうね。
「ところで二人だけになった事だし一応聞いておくけど……私の中にあるのがアーティファクトじゃないってどういう事?」
「あぁ、その事か。別におかしな話では無いだろう? 今まで自分と一体化していた物が違う物だったというだけの話であって、それが何なのかというのは君にとって意味があるのかい?」
あーなるほどね。大体理解したぞ。
「要するにあんたも、これがアーティファクトじゃないって事くらいしか分からないって事ね?」
その言葉を聞いてザラが露骨に不機嫌そうな顔になったが、やがてため息をついて首を横に振る。
「まぁね。ここで知ったかぶっても意味がないだろう。僕にもそれがなんなのかよく分からない。だが……アーティファクトでない事は確かだよ。ぜひ詳しく調べさせてほしいね」
正直私のこの力の秘密に直結しているから、アーティファクトじゃないならなんなのか、その正体を知りたいという気持ちはあるけれど……さすがにこいつの実験台になるのだけはごめんだわ。
「ちょっと気にはなるけどね、私の仲間を傷付ける奴は許せないからさ。ここでぶっ殺すわ」
「そうか、それは残念だね。なら無理矢理拘束させてもらおうか。君を手入れる事が出来るのならば実験体一一三九号を失ったことも意味があるというものだよ」
「人の命を実験体とか呼べるお前とは一生かかっても仲良くなれそうにないわよ」
ザラはニッコリと不敵な笑みを浮かべ……。
「仲良くなりたいとは思わないね。僕にとってこの世の全ては実験対象でしかない。信仰の対象ではあるが、神もフェイテバリスも僕にはどうでもいいんだ」
こいつが人間を実験対象から外してさえくれればアシュリーあたりとはうまくやれそうな気もするけど、私達にとってそれは致命的な問題なのよね。
「さぁ、お互いこれ以上話しても仕方ないし、そろそろ始めましょうか?」
「それもそうだね。じゃあサクっと拘束拘束」
ザラが機械義足の上で妙な物体を弄り回すと、キラキラっと暗闇の中で何かが煌めいた。
すると私の右腕に何かが絡みついて、グンっと右上後方へ引っ張られた。
それに抗おうとした瞬間、左腕、右足、左足にもそれぞれ何かが絡みつき、私は闇の中で完全に宙づり状態になってしまう。
「うっわ、趣味悪っ……」
「人聞きの悪い事を言わないでよ。相手を効率よく無力化するには張り付けが一番なんだよ」
見事に両手足を広げた形で束縛されてしまっているが、こんな物私にとっては……。
「って、あれ?」
「千切れないだろう? 僕が作り出した特別な糸だよ」
「えっ、ワイヤーとかじゃなくて糸なの? めちゃくちゃ細いのに……切れないっ!?」
それどころか手首や足首にギリギリとめり込んでくる。
これは……ちょっと、やっかい……かもっ!
「さて……身動き取れなくなったようだし、いろいろ調べさせてもらおうかな」
ヤバい、ヤバいヤバいヤバいヤバい!
「犯されるーっ!!」
「失敬な。何度も言うが僕はそんな物に興味は無いんだよ」
あっ、めりにゃんがめっちゃくちゃ不機嫌だった理由をなんとなく身をもって理解した。
とてつもなく傷つく……。
というか腹立つ!
「ではまずどこから調べようかな……」
ザラががちょんがちょんと機械の義足を使い、近付いてくる。
ちょっ、ちょっと……。
「ふむ……やはりまずはその服を調べよう。明らかな生命反応があったからね」
こいつ、私の服脱がす気だ。
ちょっ、ダメだってば!!
「メディファぁぁぁぁス!! 仕事しろぉぉぉぉっ!!」
『了解っ!!』
腰から下げていたメディファスがピカっと光り輝く!!
「うおっ! そのアーティファクト、意思があるのか!? 面白い、面白いぞ!! 君はどこまで規格外なんだ!!」
お前なんかに興味持たれても嬉しくもなんともないわっ!!
メディファス! 反撃行くわよ!!
『…………』
「……? メディファス?」
『主、勢いで了解と言った物の我がこの状態でこの糸を切る事は不可能かと』
「こんの役立たずがぁぁぁぁっ!!」
『(´;ω;`)』
「それ鬱陶しいからやめろぉぉぉっ!!」
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