13 影

わたしは、白い闇の中に立っていた

白百合色の霧の立ちこめた闇の中に


霧は時に濃く、時に薄く

わたしの存在を消そうと

その四肢に纏わり付いた


その霧がわたしを守ってくれている気がして

わたしは霧に全身を預け、立ち尽くしていた



すっと、霧が引いた

ふっと、影が現れた


影は、しばらくわたしを見つめると

振り返り、霧の向こうへ歩きだした



影が消えたあと、そこには

元の白百合色の霧があった


わたしを引き留めようとする霧を

わたしは影に向かって歩き始めた

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