4 五十年後

「こんにちは」私たちが挨拶をした。

「こんにちは」私たちも挨拶をした。


「私たちは幸せですか」私たちが問うた。

「はい、私たちは幸せです」私たちが答えた。


 私たちが声をあげた。

「そうです、あなたのもとにいる私たちなら幸せなのは当然のことです」

 私たちはさらに大きく声をあげた。

「はい、あなたのもとで私たちは幸せです」


 彼らに見つかるのを恐れてか、ある男がその光景を影から見ていた。

 異様な場景を、その男は死刑の瞬間を見る目で見ていた。


「あの男は幸せでしょうか」私たちが問うた。

「もちろん幸せでしょう、あなたがいるのですから」私たちが答えた。


 私たちが男に近づいていく。

 男の目に映る私たちの影がだんだん大きくなっていく。


「私たちは幸せですか」私たちが問うた。

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