第12話 sideマリアナ
私はお父様に書斎に呼ばれた。何の用事だろう。
お父様の要件はとても気になるけれど、それよりも私の頭の中はカール様の告白で一杯だった。
「カール様はお姉様の婚約者。でも、お姉様は婚約破棄されたから、カール様はもうお姉様の婚約者じゃなくなって。だから私がカール様の告白を受けても何も問題はなくて。でも、お姉様はカール様のことが好きではないのかしら?私が受けることでお姉様は傷つかないかしら・・・・ダメだわ。頭が混乱しすぎて、整理できない」
そんなことを考えていると気が付いたら書斎の前に居た。
さっさとお父様の用事を済ませて部屋に戻って考え直そう。
「お父様、マリアナです」
「入りなさい」
書斎の中にはお父様とお母様がいた。二人して何の用だろう。
お母様は困ったような困惑したような顔をしている。対して、お父様はどこか誇らしげだ。首を傾げる私にお父様は向かいのソファーに座るように言う。
私は戸惑いながらもお父様とお母様の前に座る。
「先ほど、エマとカール殿下の婚約破棄を受諾した。と、同時にお前とカール様の婚約を受け入れた」
「・・・・・え?」
それはさっきまで私の頭を占めていた内容だった。
「マリアナ。あなた、カール殿下のことをどう思っているの?」
戸惑いながらもお母様が聞いてくる。
私はカール様にキスをされたことや告白をされたことを思い出して顔を真っ赤にした。そんな私をお父様は嬉しそうに見つめる。
「お互い、両想いなら何も問題はないな」
「でも、お父様。カール様はお姉様の婚約者ですよ」
「元だ。婚約破棄されているので何も問題はない」
「ですが、旦那様。姉の婚約者を取ったことになるのではないですか?」
私とお姉様の間に溝ができることを危惧しているのかお母様はとても不安そうにお父様を見ていた。
「貴族の間ではよくあることだ。あれが何か言ってくるのであれば私の方から言っておこう」
「お父様。今回の婚約のことは私の方からもお姉様に話します。その方が誠意は伝わります。それに私もお姉様に謝りたいんです。結果として私がお姉様の愛すべき人を取る形になってしまって申し訳ありませんし」
「ああ。お前は本当に素直でいい子だ。カール殿下もそんなお前だから気に入ってくださったんだろう」
「そんなぁ」
カール様に気に入られたというお父様の言葉で再び私の体が熱を帯びる。
「旦那様、私たちは元は平民です。王族の方のお相手が務まりますでしょうか?」
お母様はまだ不安そうだ。そんなお母様を安心させるようにお父様はお母様を抱きしめ、額に口づけをする。
お父様とお母様は本当に仲が良い。私もカール様とそんな関係になれるのだと思うと嬉しくなる。
「大丈夫だ。その為の王妃教育だ。マリアナはとても優秀な子だ。エマにも出来たんだから、マリアナにもできるさ」
「お父様、お母様。私、精一杯頑張りますわ」
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