メリーさんの電話といえば、有名な都市伝説または怪談のひとつ。「メリーさん」を名乗る少女から電話がかかってくるごとに彼女が近づいてきて、最後には「今、あなたの後ろにいるの」と告げられる……というもの。
被害者がその後どうなるのかはわかりませんが、まあおそらく呪い殺されてしまうのでしょう。恐ろしいですね。
……ところが、本作のメリーさんときたらとにかくぽんこつ。
なにしろ幼い外見相応の精神年齢なうえ、都市伝説の存在であるがゆえに人間社会の一般常識を知っているはずもありません。
警察署にTELしてイタズラ電話として処理されてしまったり、どこぞの会社にTELして営業時間外の録音メッセージにぶつかってしまったりと、電話の怪異ならではの失敗ばかりを繰り返します。
そんな中、ようやく人間の女の子に電話を繋げることに成功するのですが……という感じでスタートする少々変わった日常モノがこの小説であります。
魅力は何と言ってもメリーさんの愛くるしさでしょう。
無邪気なふるまいと人外らしい「ちょっとズレた」感覚とが巻き起こすハプニングは笑いを誘い、人間側のメインキャラクターである清美や香住といった少女たちとのふれあいは尊みを感じさせてくれます。
正直、百合好きな方にもおすすめ。
どうやら同じ作者さんの別作品からのスピンオフらしいのですが、そちら未読でも問題なく読み進めていくことができます。現にわたしも本作単品で触れた状態でこのレビュー書いてますし。
それにしても最近のメリーさん、こんなのしかいねえな!(歓喜)
※本レビューは「ノベルアップ+」にも掲載されています。