24話、コタツで狭まる距離
私が無理を言って、メリーさんをこの部屋に住まわせてから、早くも半月が経とうとしている。この半月の間に私の生活は劇的に変わり、幸せに包まれている。
最初は困惑して口数が少なかったメリーさんも、今ではごく自然に接してきてくれている。でも、まだ少しだけギクシャクしている部分はありますけどもね。
メリーさんは、私が大学やバイトに行っている間はずっと、ベッドの中ですやすやと寝ているらしいんです。
後で聞いてみたんですが、ベッドの中はとても安心するらしく、なによりも、私のいい匂いがするからのことでした。
私のいい匂いって、一体どんなのなんでしょう? とても安心できて、心が落ち着くいい匂いらしいんですが、私の体からそんな匂いが出ていると思うと、なんだかちょっぴり恥ずかしくなります。
だけど、メリーさんはその匂いがとても大好きらしいので、なるべくその匂いを維持するように心掛けねばなりません。……どうやればいいんでしょうか?
話は変わりますが、季節は冬本番を迎え、とても寒くなってきました。エアコンの暖房だけでは心許なくなり、メリーさんも少し寒そうにしているので、私は決心してとある物を購入しました。
それは、新しいコタツです。前にあったコタツは古かったので、奮発して高い物を購入しました。
最近の物はすごいんですよ? 温かさが段違いで、コタツから出るのが困難になってしまいましたよね。
そして、コタツに入りながら食べる甘いミカンと、熱いお茶が格別に美味しく感じてしまい、部屋にいる時はずっと、コタツに身を委ねてテレビなど見ています。
もちろん、メリーさんも同じです。コタツに入った瞬間に、顔はとろとろにとろけてしまい、本当に幸せそうな表情をしているんですよ。
その表情がとても可愛かったので、思わず携帯電話のカメラ機能を駆使し、連射で撮っちゃいました。
メリーさんには内緒ですが、その画像を携帯電話の待ち受け画面に設定しちゃっています。
疲れた時やイヤな出来事があった時に見ると、元気が湧いてくるんですよね。しかし同時に、早く部屋に帰ってメリーさんに会いたくなってきてしまいますが……。
そしてですね、嬉しい事に最近メリーさんが心を開いてくれたのか、私の体に寄り添ってきてくれて、甘えるようになってきてくれたんです。
コタツに入っている時に、私の体をギュッと抱いてきて頬ずりをしたり、顔を
メリーさん
抱っこをしたり膝枕をしても、同じくすぐに寝ちゃいます。少し残念な気持ちになりますが、メリーさんの寝顔がすごく可愛く、ずっと見ていたい気持ちのあるので、この気持ちはどっこいどっこいですね。
あと、メリーさんが良く会う人や、たまに会う人を私に紹介してくれるようになりました。
豪邸に住んでいる『
座敷童子という妖怪と一緒に居る『
ボロボロな廃屋に住んでいる、不気味な『
……どの人も濃い、とても濃い。まず初めに、豪邸に住んでいる秋野原さん。……そんな所に、一般庶民であるこの私が行ってしまってもいいんだろうか……?
体が弱いらしく、ずっとベッドの中にいて暇をしているらしい。だからメリーさんが話し相手になって、時間を潰しているとかなんとか。
次に、秋風さん。座敷童子という妖怪と一緒にいる時点で、もう既に怖いです。妖怪って、あの妖怪ですよ?
座敷童子ともいえど、絶対に怖いに決まっているじゃないですか! ……その秋風さんという人も、怖いんだろうなあ……。
メリーさんは、その秋風さんがとても大好きらしい。なんでも、初対面なのにポップコーンをいっぱい奢ってもらったとか。今度会う時になったら、お礼をしないと。
最後に
胡散臭くて、雰囲気が気持ち悪くて、なんでも一回捕まりそうになったとか。……どう考えても危ない人だ。要注意せねば。
なんだかんだ言って、メリーさんって知り合いが結構多い気がする。友達や知り合いが皆無な私にとって。すごく羨ましい事だ。だから、会うのはとても楽しみにしている。
次の休みの日になったら、秋野原さんと会う約束を交わしているらしい。もちろん、私も一緒に行く事になっている。……ちゃんとした服を着ていかなければ。
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