7話、vsマンション投資の勧誘
あ~あっ、とてつもなく暇ね。人間を驚かせてやろうとして電話を掛けるも、大体はロクでもない奴に掛かっちゃうし。
たまに、とても怖い妖怪みたいな奴にもかかっちゃうし……。疲れちゃうわっ。
なんで変な奴ばかりに掛かっちゃうのかしら? 驚かせようとすると逆に驚かされちゃうし、あっちのペースに飲まれてうやむやになっちゃうし。なかなか上手くいかないわっ……。
今日は何をしようかしら。急に
あらっ? 私の携帯電話に着信が入ってる。最近多いのよね。相手には非通知で表示されるから、私の番号はわからないハズなんだけども。とりあえず出てみよっと。
「も、もしもし」
「もしもし、初めまして。私、株式会社ぬり壁の
ほら来た、また変な電話。ワケのわからない単語ばかり言ってくるから、まったく理解ができないのよね。ここはキッパリ断って、逆に驚かせてやるんだから!
「いいえ、興味なんて一切無いわっ」
「なるほど。でしたら是非ともご興味を持って頂きたいので、一からご説明しますね。マンションへの投資と言うのは―――」
「えっ、えっ? い、いやっ、だいじょうぶ……」
……人の話も聞かないで説明を始めちゃったわっ。ハッキリと答えたのに、聞き分けのない奴ね。一から説明されても、わからないものはわからないのよ。
なによ、土地とか投資って? お金って言われても、そんなに持ってないし……。ひゃくまんえんとか、ごひゃくまんえんとか言ってるけど、これもお金なのかしら? ポップコーンどのくらい買えるんだろう。
「―――と、言うワケでございます。一度どうでしょうか?」
「そ、そのっ……。ごひゃくまんえんでポップコーンは、どのくらい買えるのかしら?」
「ポップコーン、ですか? そりゃあもう! 山ほど買えますよ!」
「ほんとっ!? ……へぇ~」
ポップコーンが山のように買えるんだ、まるで夢みたいっ! ……ちょっと興味が湧いてきちゃった、やってみようかしらっ。
「えと、やりますっ!」
「本当ですか? それはよかったです。それでは、お名前を教えてください」
「メリーさんよ」
「メリーさんですね、素敵なお名前で。お住まいはどちらになりますか?」
お住まい……。私が今、立ってる場所でいいのかしら? そうだ、寝床にしてる山奥の方にしておこっと。
「えっと、山奥」
「や、山奥? ……住所を教えてもらってもよろしいですかね?」
「じゅうしょ……? なによそれ?」
「えっ? あなたが現在お住みになっていらっしゃる場所、でございますけど」
「だから山奥よ」
「……え~っと」
なんでこんなに困ってるのかしら、本当の事を言ってるのに。それにしても、これからポップコーンがいっぱい買えるようになるんだ。楽しみだわっ!
朝、昼、晩、一日に三回食べちゃおうかしら? そういえば人間って、三時におやつを食べるらしいじゃない。ふふっ、私もおやつをしちゃおっと。なら、一日に四回食べる事になるわね。贅沢だわっ。
「すみません、ちょっと掛け直しますね」
「えっ、なんでっ!? ちょっと待って……、き、切れちゃった……」
うそっ、なんでなの? 早くポップコーンをいっぱい食べたいのに……。掛け直すって言ってたから、また相手から電話が掛かってくるのよね? 早くしてくれないかしら。
公園にあるポップコーンを売ってるお店には、確か三種類の味があるのよね。塩とバター。それに、甘い匂いがするキャラメルっ!
キャラメルはまだ食べた事が無いのよね、楽しみだなぁ。一日に全部の味を食べてやろっと。ふふっ、想像するだけでニヤけてきゃうわっ。
……電話が一向に掛かってこないけど、相手も忙しいのかしら? まあ、焦る必要はないわっ。気長に待とっと。
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