世界をかえたいものがあがく詩

水時 恵

第1話 日の出町

 今日もバイトでこの町へ来た、駅をでて空を見上げる、どんな町でもこの青は変わらずキレイだ。


 視線を下げると人のゴミ、そしてなにを表現したいのかわからないストリートミュージシャンの声が僕の耳を侵す。


 スピーカーから流れる雑音はこの青い空への冒涜だ。


 心のなかで耳を塞ぎながら歩き出す。交差点の左端で50くらいを過ぎた中年達が醜い怒鳴りあいをしていた。競馬新聞片手に唾を飛ばしあう。行き交う人々は眉をひそめそのまま歩き出す。


 僕は歩調を上げる。


 パンダのようなアイラインをした不自然な金髪な商売女。ただようヤキトリのニオイは人間の臭気が混じって吐き気を覚える。


 ちがう、本当はこんな社会生活と一体化する自身への自己嫌悪に吐き気を覚えるのだ。

 気がつけば人通りの少ない道を歩いていた。


 道端の卑猥さとイデオロギーの塊のような低俗新聞がまるで僕のを笑うかのように

 カサカサ音を立てている。


 ”この世界を一掃する神はどこにいるのだろうか?”    幻。


 薄暗い路上で僕は力を欲していた。

 世界を変える力を 


 そのとき誰かが答えてくれた。


「書け、歌え、走れ、考えろ、前へ進め、一瞬、一mm、小さなことを少しづつやり続けろ、そうすればいつか、世界は変わる可能性がある」


 でもきっと99.9%世界は変わらない、だけど僕は実行することにした。


 なぜって? 僕はまだこの青い空が何より好きだだから。




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