あたしの先輩はガードが固い

ラーさん

第1話 あたしの先輩はガードが固い

「先輩」

「なんだ後輩」


 あたしが文芸部の部室に入ると、仏頂面メガネ男子の先輩が一人で本を読んでいた。


「クリスマスのご予定は?」

「あんなのは家族や恋人のいる人間がやるものだ。一人暮らしの俺には縁がない」


 先輩は本から目も動かさずに返事する。


「どっちがいいですか?」


 目を上げた先輩に重ねて訊く。


「家族と恋人」


 先輩は再び本に目を落とす。


「後輩で十分だ」

「じゃあそれで勘弁しましょう」


 まったく先輩はガードが固い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る