第7話 迷い

突然 素足で 立たされた

狭く 薄暗く 長い廊下に 


長い廊下の 両側には 

いくつもの 扉


私は 白いワンピースを着ていた


扉を開る 「違う」と思う


開ける 「違う」 

開ける 「違う」

を 繰り返す


不安と恐怖に 駆り立てられて 走る 

薄暗い廊下を 息を切らしながら 


また 扉を開ける


「違う」と思う



いくつも いくつも 

違う 違う 違う 違う 

を繰り返す


もう走れない……

ダメだ……


少しずつ 足が 手が

血に染まっていく


廊下に へたりこんだ


白いワンピースが

血に染まっていったの


気がつけば 

血溜まりの中で

泣き叫んでいたから



涙が枯れた頃……



最後だ……

これで終わり……


私は 真っ直ぐに 

廊下の先 壁を

睨む



最後だ……



獣のような気が わいた

衝動が 身体中を駆け巡る


足の先から 頭の先まで


血まみれになった身体で

よろよろと立ち上がる


地に 足がついた

力が わいてきた


壁に向かって走る 


「うりゃぁぁぁーーーーーーーーーっ‼」


飛んだ 

足で壁を蹴りつける


突き抜けた


血まみれのまま転がり

倒れこんだのは

草原 青空の下 


わらけてくる


ワンピースは 血生臭い

それでも 大地は優しかった


そうだった


私は いつだって 

真っ直ぐ 生きたかった

私を 貫き通したかったんだ





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