No.16 物語しりとり
「物語しりとりしようよ!」
「なんだ、それ?」
「しりとりで物語を作るの。」
「ほぉー、いいよ。」
「物語しりとり」
「リンリンリン、電車がホームに到着した。」
「助けなど来ない、ここにはもう。何も無い。」
「いつからだろうか、きっと君がこの世から消えたあの日から」
「ラーメンの屋台に入った時にはもう遅かったんだ。その時にはもう」
「迂闊だった僕のせいでもある。」
「る…瑠璃色に光るネックレスが」
「がらがらのシャッター商店街に響く事故の衝撃音とともにバラバラに弾けて宙に舞って」
「照らし出された目の前の景色はスローモーションに見えた。」
「確かに、彼女の言う通り、ラーメンは美味かったけれど。それのせいで彼女は死んだんだ」
「だって、あの時屋台に寄らずに帰ってれば車はもっとずっと後に通ったはず。」
「ずっと、一緒にいたかった。男の頭の中にはそればかりがよぎり、消えてはまたよぎる。」
「ルーレットが回った」
「旅を続けるか否かのルーレット」
「とんだ災難、彼女はルーレットで否を選ばざるおえなくなった」
「だんだんと列車の音が近づく」
「空虚な世界に、君のなき世界にもう用はない」
「1ミリも躊躇がないように男はそうこぼすと」
「TRAIN 迫り来る鉄カゴにその身を預けた。」
「おしまい!ねぇ、もう1回しよう」
「いいよ。結構面白かったから。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます