No.8 ロッカー

「ごめんなさい。」

そう呟くと母親はコインロッカーに我が子を詰め込んだ。

(ガチャ)鍵を閉めると突然、ロッカーが光った。あまりの眩しさに怯んだ。

慌てて鍵を開けるが、中身は無かった。無かった。確かに無かった、あんなに大きなものがロッカーに入ってて見落とすはずがないのだ。


母親は怖くなって走り出した。


(どん!)誰かにぶつかった。

「いて!」

「大丈夫ですか?」

暗闇の中男が手を伸ばす

「あ、ありがとうございます。」

母親は一目惚れをしたのだ、子を殺めたに等しいその掌で男の好意に応じたのだ。

そうは言っても母親もまだ18歳、彼氏に裏切られた傷もまだ癒えぬままであった。

「すいません、暗闇ゆえに前が見えていなくて。」

「いえいえ!こちらがぶつかってしまったのに、あのでも一応電話番号教えて頂けますか。」

男はこころよく、承諾した。

2人は電話番号の交換が終わるとその日は別れた。


2日後に母親は男をデートに誘った、歳の近い男女が2人、街を歩く。

交際が始まるのはもはや時間の問題であった。


2人が付き合い始めて2年、少し特殊な性癖を持っている男が、廃墟で何度目かのsexを終えた夜のことであった。

男は暴れる母親をベットに縛り付けて言った。「あなたが2年前に僕をロッカーに入れたの覚えてる?」母親はハッとした。

男がゆっくりと顔に密着したマスクを外し素顔を見せたからだ。

「よく似てるでしょ、ママの子だもの。」

母親は「ごめんなさい」と何度も叫んだ。

息子の耳には届かない、指を1本ずつ落としたり、女性性器の中をナイフでいじり回したりした。廃墟の周りに人気はなく声は届かない。母親が弱ると、その肉体を抱えて浴槽へ沈めた、抵抗も虚しく溺死してしまった。


息子は母親の体についた水滴を綺麗に拭いてやり。バラバラにして袋につめたそして、息子が入ってたコインロッカーの一つ下に入れてやった。



扉は光らなかった―

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