No.7 集会

夜のリビングでは「物」の集会が開かれる。

ギター「いやー、主人が最近俺の事忘れてんのかってくらい弾いてくれなくてさ〜」


本「倦怠期ってやつじゃない?でも、いいじゃん。あたしなんて読み終わった瞬間見向きもしてくれないんだよ。」


包丁「俺なんて買われてから使われたの1回だけだからなー」

包丁は呆れたように笑う。


日記帳「僕に至っては1ページも開かれてすらいないんですよ!」

そういうとみんなで笑った。


ギター「俺たちもうだいぶ古いメンツだしな、新しいのが入ってきたりして、何やかんやで使われなくなっても仕方ない気もするな。」悲しそうに呟くがその言葉の一つ一つに諦めが絡みついていた。


本「ギターはまぁ、あれだけど。あたしを除外したあとの奴らはこれから使われだす可能性全然あるんじゃない?」

日記帳と包丁に目線を動かす。


包丁「そうですかね。」

日記帳「まだいけますか?」

2人は顔を見合わせて笑った。


本「行けるわよ、まだ若いんだし。」


実は古本屋から仕入れた本なのでここでは最年長者である。


包丁はミトリで、日記帳はうなぎ屋でその日のうちに買われたので所謂、同期である。


包丁「いや〜、本さんに言われるとちょっと自信出てきますは。」

日記帳「そうっすね〜。」

日記帳は同調する。


本「おだてたって何も出てきやしないわよ。」少し嬉しそうであった。


包丁「そう言えば、ギターさん。今日はアンプさんと一緒に居ないんですか?」

この問いかけに一同目線を泳がせる。


日記帳「お前、知らないのか。アンプさんはこの前故障して、家から連れ出されたっきり帰ってきてないんだぞ。」

包丁はハッとした顔つきで、すいませんそうとは知らずにとギターに詫びた。


ギター「いいんだ。知らなかったんだろう?仕方ないことさ」元気なく作り笑いを見せた。


コケコッコー!


ギター「やべ、朝だ。」


本「みんな元の場所に戻ってー」


包丁と日記帳は同時に「はい!」と答えるとそそくさと元の場所へと帰って行った。

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