光のさす方

冷凍氷菓

第1話 死を望む

日が沈んだ夜のこと、捕まった少年は石の壁に囲まれた薄暗い部屋に閉じこめられていた。その部屋にはランプが一つしかない。

 その部屋の中で少年は身動きが取れないように薄着姿で磔台に拘束されていた。少年以外誰もいない部屋で、何もないところを鋭く睨みつける少年。拘束されていても抵抗するその目は何人も殺してきたような目をしている。

 鉄のドアが開き一人の男が部屋に入ってきた。顔に大きな傷があり、小さな傷は無数にある。年齢は五十歳くらいだろうか。少年は鋭い視線をその男に向けた。男は少年に向かいながら言う。

 「こりゃ、楽しめそうだ。色っぽいガキだ。そそられる」

 男が前に来ると少年は男に唾を吐きかける。男は顔にかかったその唾を舐めとるり微笑む。気持ちの悪い笑みだ。

 少年の両頬片手で掴むと、ねっとりと舐めた。少年は相変わらず鋭い視線を向けていたが、心の中は気味の悪い不安が襲った。まず、この男は普通じゃない。それが恐ろしかった。

 少年の横で、拷問の準備をしている。金属同士が当たり音を立てるその音は少年の体に響いた。少年の体は少しずつ震えだしてきている。目は相変わらず鋭く睨んでいたが目は潤いを増している。

 「待たせたね。さあ、始めるよ」

 男はそう言うと少年の肌を優しく触る。太ももから脇腹そして胸、顔にかけて触れる。少年はゾッとしていたが、今度は睨みつける右側の目も舐めた。

 「いい目だ。あとで僕のコレクションにしてあげるよ」

 男が器具を持って少年に拷問を始めようとするとき少年は初めて口を開いた。

 「待って」その声は震えている。男は少年の言う通り器具を台に拷問をやめた。

 「どうしたんだい?」

 「話すよ」少年の声は怯えていた。目は相変わらず睨んでいたが涙を溜めていた。 「そうか。いい子だ。話しておくれ」

 男は紙に少年の言うことを書き始めた。少年はありとあらゆることを話した。屈辱的であり仲間を裏切ってしまうことが申し訳なくてもう合わせる顔がないと思った。それに自分がこんなにも弱い人間であることが恨めしかった。

 「それで君が知っていることは全部?」

 「そうだ」

 「ありがとう。君のおかげで、君の仲間たちを全員殺すことができそうだよ」

 男はそう言うと笑い出した。少年の体は恐ろしさで体をピクリとさせた。自分が話したことで仲間が殺されてしまう恐ろしさも感じた。なおさら自分がバカすぎて惨めな気持ちになる。悔しくて、恐ろしくて、情けなくて涙がついに溢れてしまった。でも少年は助かりたかった。

 「離してくれるんだろ?」

 男は黙って扉の方へ行くともう一人の男にメモした紙を渡した。そして少年の元へ戻ってきた。

 「なあ。離してくれるんだろ。助けてくれるんだろ?」

 男は器具を掴みながら言う。

 「おかしなことを言うガキだ。そんな約束はしてない。それに僕はね。拷問が大好きだ」

 少年の目は反抗的に睨みつけるのではなく、恐怖に支配されていた。

 「やめて!やめて!お願いだから、全部話したよぅ!!だから!だから!」

 少年は泣きじゃくりながら叫び始める。年相応の反応だ。

 男は爪を一枚ずつ剥ぎ始める。

 その度に少年の叫びは激しくなる。

 「やめてぇ!!!痛いぃ!!!痛いぃ!!いやだ!!」

 「いい声だ。もっと鳴け。外のやつにも楽しませてやれ」

 その瞬間小指をポキリと折った。

 「ああああああああぁぁ!!! あああぁぁぁぁxXXXXXXXxxxxxxxxx!!」

 綺麗な顔は痛みに歪み、自分の体液ではしたなく汚していた」

 ドアにある小窓からは他の男が笑いながら見ている。

 苦しみながら少年は必死にお願いした。

 「お願いだから・・・・うぅぅ・・・・もぅ・・・・痛くしないでぇ・・・・助けて・・・・」

 男は少年の顔を覗きに微笑みながら言う。

 「そうだな。やめようかな。もう少し言ってくれればやめるよ」

 「____もう、嫌だ。僕__生きたい。死にたくない!!死にたくない!!もうやめてッ!!・・・」

 「ふふ。まだそんなに話せるんだね。まだまだ楽しませてくれそうだ」

 「えぇxxxやめって・・・・て____」

 男はノコギリを取り出し太ももに歯を当て切りつけた。

 「!!!いぎゃあ!!xxxXX・・・」

 「これから足を切断するんだから、こんなことで叫んじゃダメじゃないか」

 「いひゃだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああxxXXXXXXXXXXXXxxxxxxxxあああああああああああああああああああああああ。」

 歯を当てゆっくり動かす。ちが溢れ出し男はそれを見て喜んだ。少年は叫び続け泣き続け、苦しみ続けた。

 ノコギリを動かす振動が体に生々しく響いていた。少年は自分の声と痛み、振動で頭の中がぐちゃぐちゃになり始めた。少年は何回もえずき胃の内容物を吐き出した。

 「ぎゃああああああああああああああああああ。がぁぁぁああああ、げぁぁぁぁあああxxxxxxxxxXXXXxxxxxx」

 男は切断した足を大事そうに抱え、かじり付く。

 少年は、「殺して」とお願いするだけになった。

 

 「殺して・・・殺して・・・コロシテ・・・・」

 痛みに悶えながら少年は言う。男はさっきから笑っている。左足を失った少年。止血されたために出血死は免れたが地獄は終わっていない。

 「じゃあ次は目をえぐってあげよう!!」

 「いやあああああああああ。やめてええxxえええxxぎゃああああああ」

 「動いたら上手くえぐれないだろ?」

 少年は足掻いた。だが、それも虚しく終わる。

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