開かない私

GARA

第1話 夢







あ、寝てた…




(社会は眠くて仕方ないんだよね…)


(あ、そういえばもう5時間目か…部活かぁそういえば新しいラケットとシューズ持ってきたんだ)



(視界が夢みたいにぼやけてる…)



そんなことを思いながら、亜紗見は椅子を前に引いて猫背の背中を真っ直ぐにした。


意識がだんだんとしっかりしてきたとき、社会の田沼が


「明日政治で活躍した歴史上の人物のテストをします。」


(あぁもう授業終わりか…ノート全然取れなかったよ…)


(いいや勝に写されてもらおう)



勝は現在進行形で付き合ってる亜紗見の彼氏だ。



(そういえば小6から続いてんなぁ…てことはもう一年半付き合ってんのかぁ…)


(最初は緊張してたけど、慣れって怖いねぇ)



キーンコーンカーンコーン


「はい号令お願いします」


女子の学年委員の香山さんが


「起立、礼」


みんなは一斉に起立し、礼をした。

みんなは、カバンを取りに行ったり

男子たちが騒ぎ始めたり

女子たちはトイレに行ったりと色々と騒がしい。


「亜紗見ちゃん」


三笠が話し掛けてきた。三笠は、前の学年からの友だちだ


「いっつも思うんだけど、この時間めっちゃうるさいよね」


亜紗見は答えた


「そう?なぜか私には一番大好きな時でもあるんだよね」


「なんで?」


亜紗見は髪型を整えながら言った


「よくわからないけどねこの日常が続いて欲しいなってことなのかな?」


「なんか厨二病みたいだね」


三笠が笑いながら言った


「男子と一緒にしないで」


亜紗見は笑顔で言った。


「そういえば今日部活休みだって」


三笠が話をかえてきた。


「本当?せっかく新しいラケットとシューズ持ってきたのに…」


「買ったの?」


「うん」


「いいな私も欲しいから買って」


「可愛く言ってもダメダメNG!」


三笠はシュンとした顔で


「なんかバカップルみたいな会話」


といわれて、亜紗見と三笠は笑った。



カバンを用意し終わると、帰りの会が始まった。

担任の嘉川先生が


「不審者情報はいってます。

30くらいの男子で黒い服をきていて

見た目は太っていて体重は100キロくらい」


「うわデブじゃん」


神山くんがそういうとみんなが笑った

嘉川先生がそんなことをお構えなしに話しを続けた


「身長は170程度だと言われてます

きお…」


「不審者とかキモイ〜」


「まじ死ねよ」


先生が話してる途中にこんな声が聞こえるなか、チャイムが鳴った



「あぁチャイムが鳴ったのでさよならしましょう。明日と今日の放課後は先生出張なのでいません。」


すると男子学年委員の小五郎が活気のない声で


「起立…礼」


と言って、一斉にさよならと言った。

その瞬間にみんなドアに一斉に駆け込んで廊下へ出ていった。

廊下は教室まで聞こえるほどざわついている


その後に女子生徒が笑いながら廊下へ出ていっている

教室のなかには男子生徒が自分の棚を整理したり、友達を待ったりしている。


ざわめく教室を出て亜紗見は廊下に出てすぐに立ち止まった。


「…?」


帰りたく無いという気持ちを持っている亜紗見は自分に疑問を抱いた。


いつもなら早く帰ってテレビ見たいとかスマホいじっていたいとか思うのに。

今日だけは家に帰りたくかった。

というか怖かった。この日常がいつもの毎日が終わってゆくそんな予感がした。


それでも亜紗見は気のせいだと自分に言い聞かせて玄関へ続く階段の方へいき、ゆっくりと階段をおりていった。

手が震えていることに気づいた。


亜紗見の周りにはいつもどうりの日常がくり広げられる。

そして亜紗見の横を先生や男子生徒たち、女子生徒たちが亜紗見よりはやく通り過ぎていっている。ざわめく階段、部活に早く行った部員の吹奏楽部の練習の音が頭の中で交わって不協和音となっている。


なんとか玄関まできて、

玄関の下駄箱で靴と上履きを履き替えて、

少し歩いた先にある校門を出ていった。


いつもの帰り道、学校の目の前の交差点で信号待ちをしようとした瞬間に赤から青に点滅した。


(見覚えのある光景だ。なんでだろ?)


何故だかはわからないが、


亜紗見は周りに見えるものが全て懐かしいと感じている。


家に近づくにつれ不安が比例して増えていく…

辺りを見渡してもいつもの光景。


トラックの運転手さんがトラックをとめて携帯を一人でいじっているのも、


駄菓子の前に男の子たちが自転車を置いて、

ボロボロのベンチに座りながらゲームをしているのも、


犬の散歩をしている若い男のひとがいるもの

毎日の「普通」を進んでいる証拠だ。

それでも亜紗見は恐怖や不安を感じていた


(あと少しで家だ疲れてるのかななんか変だよ私…

家に帰ったらまた寝よう…)


そう思いながら亜紗見はいつもの帰り道の

人気(ひとけ)のない狭い道に出た。


(朝はふつうに友達のかなこや幸子と学校へ行ったのに…



どうして…?



どうして…?



この道がこんなに怖いの?不安なの?)


亜紗見はそう思った




その瞬間




亜紗見の目に涙が溢れでた。


(?!)


何故自分が泣いているか、何故怖いのかわからなかった。

すると突然

亜紗見の頭上の灰色に曇った空がガラスのように崩れ始めた。

この分けのわからない状況を理解する方が難しいと思う。

だんだんと横も後ろも前も割れていく

割れた先には狭い狭い灰色の空間が広がっていた。


「どうして…?」


「どうして…?」


自分の声だ

思わず後ろを向くと

そこには黒い服をきた男がなにかを持って走ってくる。亜紗見は逃げようとするも体が震えて動けない

男がなにかを亜紗見の頭に当てようとその何かを振り上げた


目の前の視界がだんだんとぼやけていった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










(あ、寝てたのか)



(今何時かな?)



汚れた布団の中に若い女が寝っ転がってた

その女の瞳には涙を浮かべている。


(懐かしい夢だなぁ…もう7年も経ったのかぁ)


涙を拭きながら女は思った。


(お菓子食べたいな)


そう思うと女は暗い部屋の中、

お菓子がいっぱい入っている引き出しをあけて、ポテトチップスをとり、

美味しそうなおかずや沢山の種類の飲み物がある冷蔵庫をあけ、コーラをとった。


とったら頭をかきながらテレビの前のソファに腰をかけて、ソファの前の木造の机に持ってきた物を置いた。

女はリモコンでテレビをつけ、思った。


(ビビらん!も変わらないなぁ7年前と全く同じだなぁ)


ビビらん!とはニュース番組である

女はビビらん!を見て時間を確認した


(7時6分か…)


女はポテトチップスをあけて、食べながらビビらん!を見て喉が渇いたらコーラを飲んだ。

ビビらん!ではインタビューをしていて、内容は「今あなたはなにしてる!?」という名前のままのものだった。

インタビュー中に親子連れが東京のハチ公前にいた。その親子にインタビューすると、

お父さんとお母さんは「写真を撮りにきた」といい、5歳の男の子は「日向ぼっこしてんだ!!」と元気よく言った。


すると女は…


(可愛いなぁ、そういえば今日は晴れかな?)


そう思った女は窓のカーテンを開けに、カーテンの前に立って勢いよくカーテンを開けた







窓の外には大自然が広がっている。


そして、外側からつけられている頑丈そうな柵が影となり部屋に明るさと影のシマシマ模様と女の影が広がっている。


ドアの前には大きくて、頑丈そうな柵がある。


部屋にはソファとベッドとテレビと机そして冷蔵庫と引き出しとクローゼットと掃除機、あとは雑誌や漫画や雑巾が散らばっている。

水を確保できる水道もある。


人一人が十分に住める部屋だ。


床はフローリングで、こぼした後を吹いたかのような跡がある。


壁にはなにかを取り出したり、入れたりするような仕掛けがある引き出しがある。


そして、1月28日までの全ての日にちに赤くバッテンがつけられているカレンダーが飾ってある。


女のいる窓の外、その下にはゴミが散乱してる。





女の名前は亜紗見。






後ろを振り返りながら

亜紗見は言った。






「ああーいい天気こんな日は一日中日向ぼっこしたいなぁ」







亜紗見はニコッと笑いながら言った







亜紗見は、







実に7年3カ月28日、







監禁されていた














あとがき


1話です。

文字数少なくてすみません…

ミスがあったらすみません…

つまんなかったらすみません…


出来ればコメントやフォローお願いします。











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