セキュリティインシデント対応は異世界でも大変です
あぱぱらぱーや
序章
長屋の屋根の上で、雀が鳴いている。
戸口から入る日光が土間の土を照らし出し、四畳半の狭い部屋に置かれた箪笥や、壁に立て掛けていた太刀を浮かび上がらせる。
(朝か…)
立維は
(だいぶ日差しが暖かくなってきたな…)
そう思い巡らせていた時、立維の横から子供の寝息が聞こえてきた。
立維は、自分の足に絡みついて隣で寝ている子供を見る。
つい最近、此奴の髪を切った。暑いからという子供らしい単純な理由だが、脇差で切れという
無茶な要求に、立維は辟易しながら切ったのだった。
「う〜ん…立維ぃ、tarはフルパスで固めちゃ駄目だってばあ…」
いつもの事だが、訳の分からない寝言を言っている。
何を言っているのか、と立維が呟いて起こそうとした時、
「おはよー、立維様、起きました?あなたの大好きな美人エルフの登場ですよ〜」
肩下まで伸びた髪と洋袴をなびかせて、エルフが土間に入って来た。
「おい、何勝手に入ってるんだ、それに何が大好きな、だ」
「えー、だってこの長耳が動くのが好きなんでしょう。ほら、触っていいんだよ?」
エルフは立維の側に来ると、ぴょこっと耳を動かした。
「う、煩い、それより朝から何用だ」
立維はピクピク動く耳を握りたい衝動にかられたが、何とか我慢してエルフを睨みつけた。
「何用だ、じゃないでしょう。ほら、い・つ・も・の、不審な
「またか。仕事は口入れ屋を通せと何度も言っているだろう」
立維はエルフに出て行けと手を振りながら喚いた時、また外から声が聞こえてきた。
「豆腐、とうふ〜。立維さーん、今日は買いますかい?」
「やかましい、今日は買わぬ、ちょっと黙ってろ棒手振り屋」
「へっ?何ですかい、いきなり」
いきなり八つ当たりで怒鳴られた棒手振り屋は、隣の長屋から出てきたらしい主婦に声をかけられて、戸口から去っていった。
「はい、これ。いつもの魔力通信用の
「はいこれ、ではない。某はまだ起きたばかりで…」
エルフは立維ににじり寄ると、有無を言わさず
「
「いやできてねえって」
『
「
『俺は待っても、
「というか、
「ねー立維、どっか行くの?おなかすいた」
「立維様、着付けが崩れていますよ、身だしなみ整えましょう。ほら、技術があっても格好悪いからモテない、と昔から言うじゃないですか」
「あー知らん知らん!」
朝から押しかけられ、物思いにふけることもできず、立維は草履をつっかけて思わず外に飛び出した。
外はからっと晴れていた。先日までの雨が嘘のようだ。少し湿った路地を先程の棒手振り屋が歩き回り、裏長屋の女房達が朝食の準備を始めているような音が聞こえる。表通りに面した裏長屋の戸口を見ると、店を開ける準備を始めた丁稚や早々と都城に登城していく武士が垣間見れた。
(もうそろそろ夏かな)
部屋の喧騒から離れて少し落ち着いた時、
『いくぜ、これより
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