第401話 地球の防衛の9割を押しつけておいて!
「賛成するかだとぉ?。だいたい魔法少女とかいう等身大のヤツラも亜獣と名が付くものなら、きみたちの管轄だろう。デミリアンで倒すというのが筋というものだ」
黒人系の文官が声をあげた。その意見にミサトが苛つきを必死で抑えながら応戦する。
「えぇ。たしかにそうでしょう。ですが、魔法少女は一万人を超えるのではないかと推測されています。えぇ、もちろんこちらも『推測』です。ですが、これだけの数を相手にできるほど、わたしたち日本支部は予算をさいていただいていません」
「なにを言う。予算は国連支部のなかでダントツに多いではないか!」
「お
一気にまくしたてたミサトを、次期事務総長候補の男が
「待ちたままえ。カツライ中将。それは君らの言うように電源切断を行なったとしても、おなじなのではないのかね。場合によっては、一万人が一気に目覚めるかもしれないのだぞ」
痛いところをつかれた——。
ウルスラはそこを指摘してきた事務総長候補のその男を見た。やり手だと噂されていたが、わざわざこちらからポイントを貢ぎのアシストパスを与えてしまったと言っていい。
だがミサトはひるまなかった。いや驚くことに待っていました、と言わんばかりに前のめり気味に喰いついた。
「まさにそこです。我々はこの80年近い亜獣との戦いで、一度たりとも亜獣の出現をコントロールできたことはありません。できたところで通常兵器では役にたたないので、結局、わたしたち日本支部のデミリアン部隊にほぼ全部の戦いが押しつけられてきました」
国連事務総長の顔がくもるのがわかった。と同時にウルスラの頭の中に総長から『テレパス・ライン』を通じて「この女を黙らせろ」と
「国際連邦軍といっても、デミリアンを擁する日本支部以外は、起きもしない各国間のもめ事や、来るはずもない宇宙人に備えるただの閑職です。各国が抱える軍隊も同じようなものでしょう。『ベーシック・インカム』以上の暮らしがしたい人のための小銭稼ぎの組織でしかない」
さすがに言いすぎだ——。
ウルスラはミサトをたしなめねばならないと思った。
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